“Appreciative Inquiry (David L. Cooperrider, Diana Whitney)” の第3章の”The Appreciative Inquiry 4-D Cycle”の後半、英国航空(British Airways)のAIの実施例において、トピック選定プロセスがどのように展開されたかを見ていきます。
第3章 ”The Appreciative Inquiry 4-D Cycle”(後半)
Passion for Service: Getting Started with Al at British Airways
英国航空(British Airways)の状況
- 新たな拠点の追加、新規提携、技術更新、リーダー交代、施設の改修など、大規模な組織変革を経た時期でした。変革を任された担当副社長であるデイビッド・エリッヒは、今こそ、従業員を巻き込んだ変革に取り組むべきだと考えました。
- その変革とは、従業員自身の満足度を高めると同時に、ブリティッシュ・エアウェイズが世界的に定評のある卓越した顧客サービスを提供する能力をダイレクトに向上させるものです。企業文化を再活性化させるようなプロセスの模索を始めました。
- 1999年5月、彼のあるチームが、AIの存在を知りました。ブリティッシュ・エアウェイズの顧客サービス体制全体において、課題となっていたのはコミュニケーションでした。各拠点の現場で蓄積してきた知恵は、いわば地下水脈のようなものであり、汲み上げられ活用されるのを待つ、生命力に満ちた可能性を秘めていました。
AIの組織への導入
- AIの組織への導入と、ホールシステム・プロセスの実施決定は、試行錯誤的に進められ、最終的には50名以上が関与することとなりました。組織内のあらゆる階層、拠点、職務から40名が選ばれ、2日間にわたるコアチーム会議に招集されました。彼らは、組織にAIを導入するか否かを決定する役割を担っていました。
- この2日間のプログラムでは、AIの原則と実践についての概説が行われました。AIの仕組みを学ぶための主要な取り組みとして、コアチームは「アファーマティブ・トピック」を選定し、インタビューの質問案を作成するプロセスを実践しました。さらに、練習としてのインタビューを行い、ベストプラクティスに関するストーリーを共有しました。
アファーマティブ・トピックの選定(Selecting affirmative topics for inquiry)
コアチームの会議が始まって数時間後、40名からなるグループがAIのテーマを選定していた際、ある参加者がその手法の適用範囲について疑問を投げかけました。
彼女はこう言ったのです。「人と人との関わりに関わる問題において、アプレシエイティブ・インクワイアリーが大きな変化をもたらすことは理解できます。でも、技術的な問題にも使えるのでしょうか?」
続けて、彼女は「手荷物です(Baggage)」(航空会社における“手荷物問題”=かなり重大な業務課題)と簡潔に答えました。その瞬間、部屋にいた全員が安堵の溜息をつきました。彼らが事業の健全性にとって極めて重要だと考えていた問題が、ついに議論の俎上に載ったのです。
具体的なエピソードを共有しました。
以降の()はゴロワーズの勝手な解釈です。
ここで私たちは、その問題に対する彼らの懸念を理解していることを示すために、彼らの話を自分たちの言葉で言い換えました。
強力かつ戦略的で肯定的なテーマを導き出す「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)」の原則を改めて伝えました。続いて「組織は、自らが探求する方向へと進んでいくものです。では、ブリティッシュ・エアウェイズにおいて、もっと増やしたいものは何でしょうか? 荷物の紛失や遅延が増えてほしくないのは当然ですが、それ以外に、もっと増やしたいものは何ですか?」と聞きました。
ほぼ同時に何人かが「より良いサービス回復」と言いました。私たちはどのように応答するのが最も効果的かを考え、一呼吸おいてからこう言いました。「確認させてください。お客様の荷物を紛失しても、すぐに回復させれば問題ないということですか?」グループはすぐに意味を理解し、「いいえ、いいえ、そんなことは許されません」と言いました。私たちは再び尋ねました。「では、あなたがもっと望むことは何ですか?どのような積極的なテーマが、この組織をあなたが見たい方向に進めるでしょうか?」
小グループで約20分間話し合った後、アイデアを共有しました。多くの革新的なアイデアの中で、彼らが『卓越した到着体験』と呼んだテーマがありました。あるグループは、彼らがもっと望んでいるのは、すべてのブリティッシュ・エアウェイズの顧客が卓越した到着体験をすることだと強調していました。
ある参加者は、カスタマーサービス担当者が手荷物紛失への懸念にとらわれるのではなく、到着時の「極めて素晴らしい体験」の提供に注力すれば、ブリティッシュ・エアウェイズが本来持つ最高の姿にいっそう近づけるだろうと述べました。こうして、組織全体を対象とした探求活動(インクワイアリー)における4つの肯定的なテーマが選定されました。
- 「到着時の極めて素晴らしい体験」
- 「仕事における幸福感」
- 「継続的な人材育成」
- 「職務グループ間の調和」
前進する決断(Deciding to go forward)
2日間にわたるブリティッシュ・エアウェイズの会議の終わりに近づいた頃、私たちは2つの質問を投げかけました。「ブリティッシュ・エアウェイズのカスタマーサービスでAIを進めるべきか?」この時点で、1つ目の質問に対する答えは全員一致で「はい」でした。
そして2つ目の質問「成功を確実にするためには何が必要か?」は、
・経営陣のコミットメント(本気の関与)
・全従業員の参加
でした。参加者たちは、これらのどちらか一方でも欠けてしまえば、この取り組みは「またいつものやつだ(same old, same old)」と受け取られ、結局は何の変化も生まないだろうと明確に指摘しました。つまり、組織のあらゆる階層・あらゆる部門のすべての人々が、支援と参加を引き出せる形で招き入れられなければならなかったのです。
次のステップは、明確に示された2つの要因が確実に実現することでした。
・プロセス全体の設計者・推進役・支援者として機能するために、ステアリングチームが結成されました。
・マネジメント向け説明会が開催され、その前段階として、数名のコアチームメンバーがドラフト版のインタビューガイドを用いて、自分たちの上司に対してインタビューを実施しました。
・説明会では、マネジャーたちはコンサルタントからAIについて説明を受けるとともに、「The Power of TWO」と名付けられたブリティッシュ・エアウェイズのプロセス案について紹介し、会議の終わりには、AIはブリティッシュ・エアウェイズ北米において、すでに順調に動き出していました。
この英国航空を含む実践例に関して、少しCBSニュースで取り上げられていました。What Is Appreciative Inquiry? – CBS News
そこで、最後に”What It’s Bad For”として、AI導入の課題が挙げられていました。

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