心理学は心という数値でとらえにくいことを科学で捉える学問だと思いますが、その中で何かの仮説を立証る際は因果関係が重要な判断になります。因果を改めて考えてみようかと思います。
因果 「何かを原因として結果につながること」と読み取れますね。
その原因と結果の関係を独立変数Xと結果の従属変数Yの関係を因果関係と呼びます。
もう少し近い概念に相関関係がありますが何か違うのでしょうか?
例えば米国のGDPと北半球の平均気温の関係を見ると、

二つのデータ間に相関はありますよね。とは言え平均気温が直接の原因でGDPが決まるとは思えません。地球の温暖化と経済的状況が徐々に年を追うごとに増加傾向にあると考えるの妥当かと思います。
改めて変数Xが原因で、変数Yが結果となる因果関係の条件を教科書で確認しましょう。
- 2変数間の相関関係の強さ
- 時間的先行性(XがYに先行して出現すること)
- 関連の特異性(XがYの発生に特異的に関わっていること)
- 関連の普遍性(XとYの関連が測定の時期・対象・方法が異なっていてもみとめられること)
- 関連の整合性(XがYの原因になりうることが外的基準で検証できること)
心理学研究法(放送大学教材’20)より
今回の例で言うと、満たしていない条件は3かなと思いますが、論理的に説明するのは難しいです。ただX、Yの元のデータは時間推移のデータでした。それをX,Yに割り当ててグラフ化したにすぎません。そこで元のデータを見るとGNPが時間経過に対して滑らかに増加するのに対して、平均気温も毎年ばらつきながら増加しており、それが相関を示しただけです。最初の図のGNPのばらつきは実は平均気温のばらつきを示していることがわかります。こうしてみると1の相関性の強さと3の特異性の観点で因果関係にあるとは言えないと判断できるかと思います。


心理学という掴みどころのない現象こそ、科学的な厳しい視点が必要なのかも…
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