第2弾のロジャーズの”Significant Aspects of Client-Centered Therapy”から湧いたモヤおやつは、2章以降に取り上げる話題として取捨選択の中で廃棄したほうの、「クライアント中心アプローチが生まれたルーツのいくつかについて」というくだりです。
そこでは、
ここはロジャーズの「問いかけにより、クライエントの経験の振り返りを生み、過去の抑圧した経験を語ることで、心が解放される過程」が、フロイトの自由連想の中で同じく経験を語ることで解放されるという「カタルシス」にルーツを持っていると認めているようです。
モヤモヤは上の分です。どうやらカタルシス同様に気づいた過去の経験を自己の中で再構成する際にフロイト派と思われるランク、タフト、アレンさんの研究が役に立っているという意味らしいようです。

ただこのご三人は誰っ?となりました。
オットー・ランク
このオットー・ランクさんはロジャーズの変容(1)で触れたように、確かにもともとフロイトの弟子で
- 「出生外傷説」がクライエントの不安や恐怖といった神経症を理解につながるとの気付き
- 「患者(patient)」ではなくて「来談者(client)」と呼ぶ
- 「共感」という考え
のヒントを与えたロジャーズにとって大切な人物です。
J.J.タフト
次のタフトさんは、英語版のWikiに詳しく出てました。
J. (Julia) Jessie Taft (June 24, 1882, アイオワ – June 7, 1960, ペンシルバニア) アメリカ人哲学者、 初期の子どもの養育と治療的養子縁組
タフトは最初オットー・ランクの患者であり、次に彼の学生で友人となり、最終的には伝記作家でアメリカの擁護者となりました。(中略)1936年、タフトはランクの「意志療法:関係と真実および現実に関する治療過程の分析」をドイツ語から英語に翻訳しました。ランクが1939年に亡くなったとき、タフトは彼のすべての文書を受け取り、彼の主要なアメリカの支持者となりました。タフトはランクの「意志」に関するアイデアを彼女の治療的社会事業に取り入れ、さらに重要なことに、ペンシルバニア社会福祉学校での社会福祉士の訓練にも取り入れました。
さらにロジャーズとの関係も書かれています。
タフトは、ロジャースがそこでディレクターとして働いていたロチェスターの子供虐待防止協会のスタッフに彼女の研究を紹介することによって、ロジャースの非指示的アプローチの発展に重要な役割を果たしました。タフトはロジャースにランクの関係アプローチを紹介し、それが後にロジャースがランクに会うきっかけとなりました。また、ロジャースはタフトの著書からインスピレーションを受けており、彼女が特定の2人の子供クライアントと共に作業する段階的な過程を描写しています。これはロジャースのその後の研究の初期の前例となり、彼は治療関係内で何が起こるかを探求するために「カーテンを引き剥がす」ことを続けました。
これで結びつきました。放送大学の「21’心理カウンセリング序説」の中では、オットー・ランクの講演(1935年)を聞きとありますが、ここではタフトが縁で深いつながりができたようです。そして内容はわかりませんがタフトからの影響も受けているようで、ルーツと言えるのかもしれません。
アレン.フレデリック.H
最後のアレンさんは、”Psychotherapy with children” by Allen, Frederick H., 1890-1964 という「児童心理療法」という本だけ見つかりました。目次からは児童のセラピーの手順が書かれているようです。他の二人との共通点は児童心理と療法になり思想的に共通する部分があるのではと想像しています。
以上から3名はフロイト派というよりは、ロジャーズの「自己構造の変化」のルーツになった一連の心理学者たちと判りました。(自己構造の変化:個人的な経験、特に幼い時期の出来事を起因とした不安や捉われを、反射などによる振り返りの中で気づき、再構成することで不安を和らげる)



大分すっきりしました!フロイト以外でロジャーズが無視できない3名だったんですね。
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