1-1で語った「会議って退屈で苦痛」の訳を、引き続き「中村 和彦 入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる」を引用しながら考えて見ます。下記のようなテーマ毎で掻い摘んでになります。
- 組織における人間的側面のマネジメント
- 失われた10年の課題
- 利益偏重主義と認知的ケチ
- 個業化する仕事
❶組織おける人間的側面のマネジメント
私たちの共通イメージは「組織とは、ある目標や意図をもって何らかの活動をしている人々の集合体」というものです。
そして組織には、 「ハードな側面」と 「ソフトな側面」 の二つの顔があります。「組織のハードな側面」とは、形があるものや明文化されたもののことで、~ 「ソフトな側面」 は人に関する様々な要素を指します。組織開発の先駆者で著名な研究者であるダグラス・マグレガーは組織における人間的側面が重要なマネジメント課題であると主張しています。
➋失われた10年の課題
1990年代、バブル経済が崩壊した後、日本の企業は落ち込んだ収益を回復させるために、組織のハードな側面に対する変革を行いました。合併や提携、戦略の立案などの 「戦略」の変革、人員削減や部門改組などの「構造」の変革、IT化や業務プロセスのリエンジニアリングなどの「業務の手順・技術」の変革、多くの日本企業が行った成果主義の導入に代表される「制度」 の変革です。いわば、組織のハードな側面に大ナタが振るわれたわけで、大規模な外科手術が組織に施されたことになります。
しかし、外科手術だけで組織の諸問題が解消されたわけではありませんでした。人に例えるとわかりやすいように、外科手術を行うだけでは人は健康になることはできません。病気にならないためには、日頃の体質改善が必要になってきます。それと同じように組織でも、組織のべースとなる人間的側面、つまり、「人」や「関係性」を含めた組織の体質改善が必要になってきます。
❸利益偏重主義
どのように体質改善が必要になったのでしょうか?
多くの日本企業では、利益や業績といった経済的価値のみが優先され、会議では売り上げや利益などの数値について話されることが多いのではないでしようか。また、利益を生み出すためのコスト削減や効率化、特に人件費の削減による影響が社員に圧し掛っているのではないでしようか。
数値目標が至上命題の企業では、次に降りてくる数値目標はもっと高くなるケースが多く、社員は馬車馬のように走り続けなければなりません。この、部門や部署の数値目標というのは、経営層か経営企画から降りてくることが多いと思います。しかし、部署に降りてきた数値目標について、上司はその意味を伝えているでしようか。
心理学は「認知的ケチ(認知的倹約家)」と呼ばれる現象が起きることが知られています。これは、人が何らかの認知や情報処理をしようとする場合、複雑で難しい認知的処理よりも、エネルギーをかけずに単純で簡単な認知的処理と判断を行う傾向がある、という現象を指します。数値によるマネジメントは楽で反論が起きにくく、議論も必要がないので、「認知的ケチ」に最適な方略です。p40-41
❹個業化する仕事
さらに続きます。外科手術の中で効率化を代表するIT化により個業化が進みました。
一方、 仕事が個業化しておらず、 複数のメンバーがともに業務に携わったり、情報がメンバー間で共有されたりしている関係性がある職場は、 部下同士の間でもコミュニケーションが起きやすく、 お互いに仕事の相談をし、 技術的または心理的なサポートをし合い、 補完し合ったり助け合ったりということが起こります。このような職場では、協働的な関係性が育まれるような仕且みがあることが多いのが特徴です。
IT化の進んだ世界で「風通しの良い家族のような職場」を実現するのが組織開発だとしたら良いですね!
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