“Happiness only real when shared” キャリア原書輪読会より 詳細

ロジャーズの変容(3)

前の(2)で、1951年に”Client-Centered Therapy : Its Current Practice, Implications and Theory”で「来談者中心療法(client-centered therapy)」、1957年に”The necessary and sufficient conditions of therapeutic personality change “の中で、カウンセリングにおける人格の変化が生じる6つの条件(受容・共感・一致の中核三条件を含む)が提唱され、我々の知るロジャーズ理論が世に出てきました。と同時に「ただのオウム返し」や「条件を技法」などの誤解も招き、誤った理論像も現れてきました。(放送大学21’心理カウンセリング序説」参照)

その後のロジャーズは、「6つの条件は技法として意図的に行うものではなく」と語っていましたが、必ずしも技法に否定的な訳ではありませんでした。

ロジャーズは

カウンセリングの実際的場面でどんなことが生じているのか、それをどのようにトレーニングしていくかを熱心に探究していた。ロジャーズは当時の最新技術であるテープ録音により、訓練生のカウンセリング場面でのやりとりを記録して、応答の仕方等に関して実践的な指導を行った。

そして、この場面には指導者がつくべきと語り、ここに「スーパーヴィジョン」の原型が作られました。

1959年には、”A Theory Therapy, Personality and Interpersonal Relationships as Developed in the Client-center Framework”のなかで、

カウンセリングの中で生ずるクライエントの自己概念と実際の体験とのギャップである不一致の再認識化という自己構造の変化として明確に説明しました。

ゴロワーズ

少しわかりやすくゴロワーズなりにイメージ化しました。

その後ロジャーズは単にクライエントばかりでなく。人類の成長と能力開発ということで「人間中心療法(person-centered thrapy)」と呼ぶようになりました。

次第にその研究はエンカウンターグループという数段療法の形式の中で行われるようになりました。

エンカウンターグループは集団療法の一種で、10人程度の参加者が自分の「本音」、すなわちグループの中での自己の経験の動きに耳を澄ましながら、それをグループのメンバーに表明し告白していく。グループのメンバーは他者を否定したり批判したりはせず、それぞれのメンバ-を尊重し傾聴し、その人の感じ方や考え方のフレームワークを理解し受け止めていく。そうした安全な場での相互作用を通して、自己受容を生じることで、自己成長や他者理解を進化させ、対人関係や人間性の成長を目指そうとするものである。

この考えが1960年代末から70年代の人間の潜在能力を開発しようとする”human potential movement” の理論的基盤になったそうです。

ゴロワーズ

本国での動きはここまで…次に日本での変容を紹介します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次