“Happiness only real when shared” キャリア原書輪読会より 詳細

ロジャーズの変容(終)

今回のロジャーズの変容シリーズも、最後に日本に入りその像がどう変容したかを紹介して締めたいと思います。当時米国の最先端の理論であったロジャーズの非指示的技法が日本に伝えられると、全国的に広まり1965年の調査では来談者中心療法を主に行っている機関が80%に上ることが示されたそうです。(放送大学21’「心理カウンセリング序説」参照)

しかし、

ロジャーズの方法が非常に単純化して捉えられるという誤解の上にあったことは否めない。すなわち、多くの場合、非指示的に傾聴しクライエントの言葉をオウム返しすればカウンセリングが成り立つのだという誤解である。

しかも、反射(reflection)はロジャーズの意図したものとは日本の文化的・言語的な文脈の中ではずいぶん異なる意味に変容していきました。本来はクライエントの”I feel sad”に対してセラピストが”Hmm, you feel sad”のように、youとIが明示されているのに対して、日本の場合は主語がなく「悲しいです…」、「悲しいんですね」と両者の境界が曖昧になります。

このような日本では反射(reflection)の本来の意味の変容する背景は、戦後間もなかったころに入ってきたので戦前の教育への反省から、過度に「受容」が強調されたということもあるようです。

さらに。土居健郎の「甘え」の理論、日本人の心性において

「私」というものが確立する前提として、私が認められ、「甘え」を求める気持ちが自覚されることが、「私」の核となるのである。

ということも指摘されています。

ゴロワーズ

確かに「悲しいんですね」と伝え返してました。何か同じ器の中で浸かりながら、互いの転移・逆転移を導くような言い方だったと感じました。

以上でロジャーズ自身とその理論の変容と、母国でさらに日本で彼自身とその理論がどのように捉えられていったかか、それぞれの変容を少し理解することができました。皆様はどうお感じになったでしょうか?

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