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キャリア構築理論の流れ(1)

 現在、サビカスのキャリア構築理論(理論、カウンセリング法、アセスメント)の変遷を辿っています。大きく見ると、アドラー個人心理学をベースにした時期(1989)、社会構成主義をベースにしたキャリア構築理論として形成された時期(2002,2005)、マクアダムスの自己心理の枠組みなどの理論を加えた心理構成主義へと展開している現在(2011ー)になるかと思います。

 流れシリーズの最初は、1989年の“Career style assessment and counseling”を取り上げたいと思います。

目次

“Career style assessment and counseling”

アドラーの個人心理学

 サビカスは、“Career style assessment and counseling”において、アドラーの個人心理学の視点(下記1ー4)を取り入れました。

カウンセラーは

  1. 職業の適合は個人的な成功や満足感だけでなく、社会貢献にもつながることを伝えます。
  2. 人が自分自身の個性を設計すると信じ、個人の目標や手段を構造化することで、社会的文脈の中に誘導します
  3. カウンセラーはクライアントの人生目標と向かっている方向性を知ることができ、その目標を実現する環境を探します
  4. 職業選択ではなく。キャリア意思決定プロセスはクライアントが夢と現実の統合、すなわち成長の解決策を探求します

 これまでの古典的な特性・因子理論に基づく職業指導「人を職業にマッチングさせる方法」を拡張し、興味や能力などの特性の個人差に基づく職業適合の予測に加えて、人々が持つ個人特性をどのように活用するかも含めるようになりました。

キャリア・スタイル・インタビュー

 上記4のクライアントの人生目標、夢、ライフスタイルを明らかにするために、クライアント自身の経験や考えを引き出す手法として「キャリア・スタイル・インタビュー」という構造化された質問を用いたカウンセリング法を提案しました。
 質問内容は、ロール・モデル、愛読書、雑誌、レジャー活動、学校での得意科目、モットー、理想の将来像、意思決定、の8つの問いになります。

question 1: Models『あなたが成長する過程で尊敬した人は誰ですか?』

1人のモデルを挙げた後、カウンセラーは他の2人のモデルを尋ねます。クライアントが3人のモデルを挙げた後、カウンセラーは順番に各モデルについて『この人のどこを尊敬しましたか?』と尋ねます。モデルに関する質問に答える際、クライアントはカウンセラーに何よりも解決したい問題について話します。クライアントのモデルは中心的な人生目標を特定し、その問題を克服するためにクライアントが何をすべきと考えているかを明らかにします。

question 2: Books『お気に入りの本は?』

お気に入りの本は、自分の人生の中心的な問題と、それに他者がどのように対処したかを明確に描いています。主人公が自分自身の問題と似た問題を経験する本に惹かれ、他の人も同じ問題に直面していると知ることで、安心感を得ます。また、主人公が問題にどう向き合ったかを知り、その対処戦略を真似することさえあります。

question 3: Magazines『どの雑誌を読むのが好きですか?』

カウンセラーは2〜3冊の雑誌の選択肢を引き出してから、各雑誌で何を読むのが好きかを尋ねます。雑誌は読者をその環境に間接的に没入させるからです。お気に入りの雑誌はクライアントのスタイルに合う環境についてカウンセラーに伝えます。

question 4: Leisure Activities『どんな余暇活動が好きですか?』

余暇の動機は内在的なものなので、カウンセラーはクライアントが環境とどのように関わりたいかのヒントになります。このような自己表現の他に自己成長の機会も提供します。現実では習得できない活動や物に象徴的に対処できるからです。つまり遊びはリハーサルです。

question 5: School Subjects『好きな教科は何ですか?』

学校は学生に多様な職場環境を紹介します。例えば、英語の授業は工芸や化学の授業とは異なる職務要求を示します。カウンセラーはクライアントに、これらの異なる職場環境における成功(成績)や満足度(幸福感)について尋ねます。クライアントが好む職場環境や、彼らの仕事の習慣や態度を思い描くことができます。

question 6: Mottos『お気に入りの格言やモットーは?』

カウンセラーはクライアントが自分の人生の物語にどのようにタイトルを付けるかを知ります。クライアントが使ったタイトルには、例えば「心から流れるものだけが他者を自分のものに呼び寄せる」、「あなたには口がある。使え」、「用心に越したことはない」、そして「そういうことは起こる」などがあります。

question 7: Ambitions『親が抱いていた夢は?』

子供の頃に親が抱いていた夢について話してもらいます。これにより、クライアントがどのような職業に反応したかのある程度のイメージが得られます。

question 8: Decisions『自分が下した重要な選択は?』

クライアントに自分が下した重要な選択とその方法を説明し、意思決定戦略を見極めるよう求めます。

キャリアスタイル評価

 カウンセラーはクライアントの面接回答を分析し、アドラー的なアプローチで以下の7つのステップによりキャリアスタイルを評価します

2つの分野(Q1モデルとQ4レジャー)は自己に関するもの

  1. ロールモデルの質問に対する回答を確認し、描かれた中心的な問題と、その問題解決に役立つと思われる関心に焦点を当てます。
  2. 余暇の質問回答を考慮し、明確な興味を見極め、クライアントを内在的に惹きつける役割、機能、報酬を特定します。

2つの分野(Q3雑誌とQ5学校の課題)は環境に関するもの

  1. 雑誌の質問への回答を確認し、クライアントの好む環境におけるデータ、人々、アイデアの重要性を判断します。物事やアイデアがクライアントの好む環境においてどのように重要視されているかを判断します。
  2. 学校での回答を考慮し、異なる職場環境に対するクライアントの反応を比較し、成功し満足のいく経験、失敗や不満の体験を分析します。

ここで、職業イメージ(Q7親が抱いていた夢)を参考に、職業の候補を挙げます。

  1. 親が抱いていた夢から、職業上の空想や意思決定戦略、すなわち親の野心、子供時代の野心、職業上の空想、そして重要な選択です。これらのトピックを考慮することで、カウンセラーはクライアントが職場で自分自身をイメージし、どのように職業を選ぶかを想像します。
  2. 得られたキャリアスタイルからクライアントの人生ストーリーを継続し、より充実したものに導く職業を特定します。これらの職業はクライアントの思考の参照点であり、クライアントと話し合う必要があります。
  3. 前の直感的な特定から、カウンセラーはより正式な手法に切り替えることがあります。例えば『ホランダ職業コード辞典』を用いて、クライアントの職業タイプコードに対応する職業を特定します。架空の目標を念頭に置き、カウンセラーはキャリアスタイル評価を完了します。

キャリア・スタイル・カウンセリング

 キャリアスタイルの評価を終えた後、キャリアスタイルカウンセリングには、下記の5つのテーマを扱う構造化されたアジェンダがあります。最初のカウンセリングセッションで1~3のキャリアスタイル、意思決定、興味について話し合うことができます。約1週間後に予定された2回目のカウンセリングセッションでは、4の職業の展望とクライアントがどのようにそれを探求できるかについて話し合います。約1か月後、カウンセラーは最終セッションで、5のクライアントの選択を確認したり、選択を妨げる障壁に対処したりします。

  • 初回カウンセリング
    1. career style and path, キャリアスタイルと経歴
    2. decision-making difficulties, 意思決定の困難
    3. interests, 興味
  • 2回目のカウンセリング
    1. occupational prospects, and 職業の展望
  • 最終セッション
    1. choice barriers. 選択の障壁

 クライエントの関係性の維持のため、共感や励まし、そしてユーモア、クライアントの注意を何をすべきかに集中させ続けます。コミュニケーションの側面では、解釈、ファシリテティブ・コンフレント、提案、指導、明確化を用いて自己認識と職業開発を高め、キャリア選択とそのコミットメントを促進します。

1.キャリアスタイルと経歴

 クライアントのキャリアスタイルの強みと限界を徹底的に分析します。例えばクライアントの現在の行動、できれば直近5分間、あるいはキャリアスタイル面接中に言ったことや行動に表れている例を特定しながら、自分のキャリアスタイルを認識していることを確認します。

 そしてクライアントが自分の進むべき方向を明確に描けば描くほど、選択がより明確になると説明することで、会話をキャリアスタイルからキャリアパスへと移すことがあります。まずは、キャリアの基本的な意味は「だとクライアントに伝えることから始めることができます。

 クライアントのキャリアパスを具体的で記憶に残るものにするために、サビカス自身は下記表9.1を使うそうです。(ゴロワーズ:この分類は、実はホランドのRIASECと対応していると思います。参照

2.意思決定の難しさ

 前のプロセスでキャリアスタイルを認識し、キャリアパスが思い描けたら、カウンセラーはクライアントがこれまでキャリアの意思決定をどのように処理しているかフォーカスします。クライアントの個人的な論理は、カウンセリング中に二人が話すときに常識的なものになります。常識を代表することで、カウンセラーは誤った考えを再評価する手助けをします。場合によれば、かつては適応的だった論理が、今では適応的でないと説明しても良いです。

3.興味

 クライアントが意思決定に影響を与える自分の論理を見つめ直す手助けをした後、カウンセラーはクライアントが目標に向かって前進するために利用できる職業選択の基準としての興味・関心について話し合います。クライアントの興味を明確にし、その興味が持つ隠れた意味を議論し、それらの興味がどのように役立つかを説明する基盤が築かれます。次に、カウンセラーはクライアントに、自分の興味を使って探求すべき職業を見つける方法を説明します。クライアントが職業分類システムを学び、次のカウンセリングセッションで話し合う職業のリストを作成します。

4.職業の展望

 職業のリストから、職業について話し、自然とクライアントに魅力を感じる職業へとつながります。(職業の選択)


5.選択の障壁

クライアントが自分の選択にコミットし、実行を促すための実践的な問題について話し合います。クライアントとカウンセラーはセッションを通じて問題を解決し、障壁にどう対処するかを考えます。一般的な選択肢の障壁には、経済的負担、訓練や入国要件、偏見、配偶者や子供に関わるジレンマなどがあります。

サマリー

 最後にサビカスはこう述べています。

 「アドラーの個別心理学がキャリアカウンセリングの古典モデルを発展させ、より広範なクライアントに適用可能性を拡張することで豊かにしていると主張しています。さらに、キャリア・スタイル・カウンセリングと呼ばれるアプローチが、ドラー式ライフスタイルの方法や教材をキャリア選択を望むクライアントに適応させる際に生じる問題をどのように解決するかを説明しました。キャリア・スタイル・カウンセリングはキャリアスタイルの評価キャリアパスの特定、そしてキャリア意思決定における個人的論理の認識からなります。クライアントのキャリアスタイルを解釈し、キャリア判断を遅らせたり歪めたりする誤った考えを正すためのカウンセリング方法も提示しました。また、カウンセラーがクライアントとのキャリアスタイルの面接を行い評価し、成功の公式を明確に説明するための資料も提供しました。今後、より多くのカウンセラーがこのキャリア・スタイル・カウンセリングを行うことで、その方法を開発し、追加教材を考案することでその効果を高めることを期待しています。」

 以上になります。キャリア構築理論の原型がアドラー個人心理学にあること、現在の理論の様々な要素がここで見出せました。この後、社会構成主義を取り入れて、キャリア構築理論として独自の理論が完成し、さらに個人構成主義や様々な理論を適用したメタ理論に展開する過程を見ていきたいと思います。

ゴロワーズ

今日は、大河の源流の一滴を味わった感じです。

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