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キャリア構築理論の流れ(4)

キャリア構築理論の流れシリーズの4回目、2013年の“Career Construction theory and practice.”を取り上げます。2011年の“Career Counseling (Theories of Psychotherapy)”と2012年のCareer studies as self-making and life designingを飛ばしましたが、この論文から、現在のキャリア構築インタビュー(Career Construction Interview)になったことが理由です。この名称変更により、前の社会構築主義をベースは保ちつつ、キャリアを自ら構築する個人構築主義を示したと捉えました。この新たな視点に影響与えたのが、マクアダムスの個人の心理レベルの枠組み(アクター、エージェント、オーサー)です。段々、4人の物語へ繋がってきました。

キャリア構築の理論と実践(Career Construction Theory and Practice)

 「キャリア構築理論」とは、個人が自己を構築し、職業に方向を与えキャリアの意味を見出すためのプロセスを説明するものです。その目標を達成するため、キャリア構築理論は、個人が「個人的構成主義」および「社会的構成主義」を通じて、いかにキャリアを築き上げるかの考察を加えます。構築主義的・文脈主義的な視点からキャリアを捉えることで、自己構築に焦点を当てます。この理論において自己構築が中心的な位置を占めることから、まず、人々がどのようにして「自分」を形成していくのかを考察し、続いてキャリアに関する現代的な視点にも触れます。この作業が、キャリア構築理論の基礎を成す「自己」に関する三つの中心的な視点、すなわち「行為者(Actors)としての自己」、「主体(Agents)としての自己」、「作者(Authors)としての自己」へと導きます。それらがどのようにキャリア介入の枠組みを構成し、キャリア構築カウンセリングのモデルに反映されるかを示していきます。最後に、このカウンセリングモデルを実証した事例研究を示します。

目次

自己構築(Self-Making)

 自己とキャリアの構築は、一生のプロジェクトと言えます。人は、過去の経験に思いを巡らせながらも、今現在、自分自身が何を考えているかを意識することで、自己とキャリアを構築していきます。私たちは、現実を言語の中で生きているため、言葉は自己とキャリアを考える上でのリソースとなります。そして、言語には「自己」が内包されており、物語が「人生の軌跡」を運ぶ(キャリア)なのです。
 私たちは言葉によって自らの存在を語りますが、そこには経験が必要です。なぜなら、「自己は内側から外側へと構築されるのではなく、外側から内側へと構築される」(ヴィゴスキー)からです。したがって、自己は、対人関係の経験を通じて共構築されると言えます。

自己構築に関する視点(Perspectives on Self-Making)

 自己とキャリアの構築プロセスは、児童期、思春期、成人期においてそれぞれ異なります。個人は「行為者(Actors)」として自己形成を始め、その後、行動の「主体(Agents)」となり、その行動を記述する「作者(Authors)」へと成長します(マクアダムスとオルソン)。こうした自己構築の3層のそれぞれに焦点を当てながら、職業的行動やキャリア開発に関するすべて理論を包含するメタ理論を構築するため、社会構成主義を用います。なぜなら社会構成主義では、現実がこのような社会的プロセスや対人関係を通じて構築されるからです。この社会構成主義の立場から、先ずマクアダムスが考案した人格理論の3層モデル、「客体としての自己」、「主体としての自己」、「プロジェクトとしての自己」をもちいます。

「客体としての自己」の視点(Self as object)

「自分に合った職業を見つける」という考え方の中心にあるのが、客体(外から測られる対象)としての自己です。これは20世紀初頭に生まれた、職業と人をマッチングするための最も基本的な視点です。ホランドのRIASECモデルとして知られる「人の性格タイプと職業環境を対応させる理論」として完成しました。多くの労働者を様々な職業に振り分ける必要があった産業社会において、非常に役立ちました。

「主体としての自己」の視点(Self as subject)

 第二次世界大戦後、先の客観的な見方を補う形で、主体(自ら考え行動する存在)としての自己という視点が生まれました。これは「人は自分自身を発見し、成長できる」という人間主義的な考えから来ています。スーパーはこの視点をキャリア理論に取り入れ、「人は自分で目標を決め、段階的に成長していく」という発達理論を提唱しました。

「プロジェクトとしての自己」の視点(Self as project)

 デジタル革命の時代と前後して、自己をプロジェクトとして捉える新しい視点が生まれました。情報社会・グローバル経済への移行により、「一つの会社に30年のキャリアを築き、定年後は年金と医療保険で暮らす」というキャリアの形は崩れ、非正規・パートタイムも増え、長期的なキャリアを築けるのはごく一部になりました。事実、労働者の4人に1人は現在の職場に1年未満しかおらず、半数が5年未満です。このような不安定な雇用環境では、「安定な雇用のもとで将来の計画を立てる」よりも、「いつ何が来ても適応できるよう備えておく」という姿勢が求められます。そのためには、個人が生涯学び続け、変化に柔軟に対応し、自分の「働ける力」を維持することが重要になりました。

Career Constructing キャリアの構築

 20世紀の客観的キャリアでは、学校卒業から定年退職に至るまで、続く職位の連続という分かりやすいものでした。スーパーが、典型的なキャリアを予測可能なパターンで描いた「直線的な軌跡を示す職業物語」は、多くの白人中産階級の労働者の人生物語を捉えていました。
 今日、組織と労働者の間の新たな社会契約により、キャリアの意味を再概念化するよう迫られています。直線的職業物語では、従業員のキャリアは「企業」が所有していました。今日、自らのキャリアを「個人」が所有しています。つまり「私自身の企業」になりました。そこでは「予測可能で直線的な進展というキャリア像」から、「境界のない、変幻自在なキャリア」へとその様相を一変しました。つまり「キャリアとは人生における明確な道筋である」という比喩が、今や「キャリアとは意味を運ぶもの」に変化しました。各人は、客観的なキャリアや道筋を経験する一方で、自らの意味と方向性を与えるための主観的なキャリアを構築しなければならなりません。
 主観的なキャリアの構築は、自己を形成する作業に似て、自身の労働に関する物語の構築から生まれます。したがって、キャリア構築理論は、自分自身を「アクター」「エージェント」「オーサー」として捉えたキャリア・ナラティブをいかに構築するかに注力します。

キャリア構築の基礎:アクター、エージェント、オーサー
(Foundations of Career Construction: Actor, Agent, Author)

 キャリア構築理論は、個人が家庭内での行動を通じて「アクター」としての社会的役割を形成し、その役割を学校や地域社会という「シアター」で活用できるよう適応させ、最終的には職業経験における連続性と一貫性を説明する自伝的な物語を「オーサー」として紡ぎ出すと提唱しました。この展開は、心理的個性が「演技(acting)」「主体性(agency)」「執筆(authoring)」という3つのレイヤーに根ざしているという視点を反映しています。アクター(actor)に対する客観的視点は、学校から定年退職に至る職位の連続性の物語を描き、主体(agent)に対する主観的視点は職業的プロットによって追求される努力と適応に焦点を当て、著者(author)に対する投影的視点は、労働経験を意味のあるキャリアストーリーへと編み上げた自身の人生物語について行う振り返りになります。

「自己」という社会的役割(Self as Actor)

 先ず、乳幼児期には家族のドラマに加わると共に、社会的アクターとしても振る舞い始めます。幼児は、もって生まれ持った資質や所属する社会的アイデンティテの中で、自らの居場所を慎重に築き上げ、家族や社会と相互作用しながら、個性や評判を形作り、さらに、近隣や学校において発展させていきます。特に家庭で共構築されたキャラクター・アークの礎は、やがて、個人がどこから出発し、現在どこにあり、最終的にどこへ到達したいと望んでいるかを描き出す「ライフ・テーマの側面」を指すものになります。

手本としての人物の内面化ロールモデルの取り込み

 ここで、自己のモデルを内面化する2つの主要な方法、「手本(ガイド)として内面化」と「ロールモデルの取り込み」に注目します。親やその他の家族は、完全なガイドとして、個人の内面世界に存在します。次に成長する過程で直面した同じような問題を解決するロールモデルに目を向けます。ロールモデルは、後にアイデンティティを形成するための資源になりますが、内面化されたガイドの影響とは異なり、ロールモデルは取り入れられ、同化となります。「私たちはそのガイドによって生まれたり、養子縁組されたりはしますが、ロールモデルはキャリア構築において自ら行う最初の選択です。」

評判(社会的評価)

 ロールモデルを模倣することは、成長過程で問題に対処する自信に繋がります。それが時間の経過とともに定着すると、他の人々からは「パーソナリティ」として認識されるようになります。こうして子どもの家族、近所、学校で評判が形成されます。キャリア構築理論では、この評判をその人の社会的ネットワークに存在するとみなします。

人は社会的カテゴリーとしてタイプ分けされる

 ホランドが明示的に定義したRIASECモデルは、スキル、興味、価値観、能力を含み、個人の仕事に関連する役割における評判を要約します。RIASECの六角形は、異なる潜在能力を持つ個人のタイプと、評判を生み出す環境におけるタイプ間の類似性を表します

自己構築型のタイプ

 RIASECのパーソナリティタイプは、各項目で定義されまが、本質はスキーマ、戦略、信念によって形作られるプロセスとしても捉えられます。つまりRIASECタイプは、目標と戦略のセットを表し、自己構築型タイプとしての小さな一歩になります。それらは個人と社会によって共同構築されます。この視点は、自己は外側から内側へと構築されると主張したヴィゴツキーの、「心の中にあるものは、まず第一に社会の中にあるものである」にあたります。

エージェントとしての自己:(Self as Agent)

 中期児童期には、家庭で認識されるアクターとして家族の中で適応した個人は、次はエージェントとして、自己を地域社会や学校へと拡張します。学校を進むにつれて、適応するための役割を果たそうと目標を形成し始めます。キャリア構築理論は、この主体性に注目します。職業を選び、社会の適材適所に納まることで自己表現します。職業に安定した後も、自らの可能性を実現し、自尊心を維持しようと、ある立場から別の立場への移行、目標を修正し、別の場所を選び、自己を確立するといった移行期を迎えます。

適応と発達課題

変化する状況に適応する過程は、個人の発達を促進しますが、自分自身で大きな変化を積極的に始めることは容易ではありません。現在の状況に慣れており、移行にはかなりの努力が必要だからです。変化を促す三つの主要な社会的課題は、職業発達課題職業上の移行、そして仕事におけるトラウマです。職業上の移行は、望ましい場合もあれば望ましくない場合もあり、計画されたものも予期せぬものもあり、昇進または降格の場合もあります。仕事におけるトラウマには、工場の閉鎖、産業事故、職業上の怪我、契約違反などが含まれます。
 これらの課題、移行、そしてトラウマへの適応は、行動セット(方向付け探索確立管理離脱)によりなされります。

適応:準備、資源、対応、そして結果

adapt(適応する)という言葉はラテン語に由来し、「適合する」という意味です。それは内的なニーズと外的な機会を調和させることを意味します。人は変化に対して、それぞれ準備、変化を管理する資源、変化の度合いも異なり、その結果として、時間の経過とともに人生の役割にどの程度統合されるかに差が出てきます。

適応性と準備度。

適応性はキャリアの課題、転機、トラウマに適切な対応をもって臨む柔軟性や意欲という特性を示します。私たちは、自分自身や状況を変えることによって不均衡に対応する必要があります。適応は、状況の変化に自己調整資源を活用する必要があり、これがキャリア構築理論でいう「適応可能性」なのです。

適応性と資源

キャリア適応性は、職業上の発達課題、職業上の転機、および労働上のトラウマに対処するための、個人の心理社会的資源を指します。これは、個人と環境の交差点に存在するため、心理社会的であると考えられます。表6.1に示されているように、キャリア構築理論では、キャリア適応性の4つの全体的な次元(dimension)を定義し、それらを3層構造のモデルに整理しています。4つの次元は関心、統制、好奇心、そして自信です。
 態度や信念(attitudes and belief)は、能力の発達と活用に影響を与え、認知的能力(competence)は、職業的発達をもたらし、キャリアを形成する適応行動を形作ります。これらの対処行動(coping behaviors)は、方向付け、探索、確立、維持、脱退の適応機能を構成します。最後は、各適応資源の不足に関連する可能性のあるキャリア問題(career problem)です。

4つの対処資源の次元(Adaptability Dimension)は、

  • キャリアへの関心(Concern)。自分自身の職業的な将来に対する関心は、キャリア適応性の最初で最も重要な側面です。キャリア関心は本質的に将来志向、すなわち明日の準備が重要であるという感覚を意味します。主観的なキャリアは行動ではなく、考え方です。キャリアの構築は、まず自分の現在の職業状況が過去の経験から進化してきたことを理解し、それらの経験を現在の状況を通じて望ましい未来と結びつけることで育まれます。この連続性の感覚により、今日の努力が明日の成功をどのように築くかを思い描くことが可能になります。
  • キャリアのコントロール(Control)。自分自身の職業的な将来をコントロールすることは、キャリア適応性における2番目に重要な要素です。コントロールの基本的な機能は、独立性、内的統制感、自律性、自己決定、努力の帰属、主体性などです。キャリア構築理論は、個人主義的および集団主義的な文脈に関連して、相互依存または独立のいずれも適応的になり得ることを明示的に認めています。それにもかかわらず、自己コントロールは両方の文脈で重要です。
  • キャリア好奇心(Curiosity)キャリア好奇心とは、自分自身と労働世界との適合性についての好奇心や探求心を指す。これを実行に移すと、自己と状況に適した選択を行うための知識の蓄積が生まれる。自分の住んでいる地域を越えて世界を探求した個人は、自分の能力、興味、価値観だけでなく、さまざまな職業の要件、日課、報酬についてもより多くの知識を持っています。この広範な知識は、自己を状況に合わせる将来の選択に現実性と客観性をもたらします。
  • キャリアの自信(Confidence)個人は自分の関心に基づいて行動するための自信が必要です。自信は、必要な行動を成功裏に遂行する自分の能力に関する自己効力感を示します。キャリアに対する自信は、家事、学業、趣味など日常の活動で遭遇する問題を解決することから生まれます。
キャリア適応性のプロファイル

適応性の四つの次元に沿った発達はそれぞれ異なる速度で進み、固定化や後退が生じる可能性があり、中程度の不調和は、発達のさまざまなパターンが生じます。強い不調和は、逸脱した発達パターンを生み出します。適応資源における個人差は、学生ではキャリア成熟度調査-適応形態(Savickas & Porfeli, 2012)、成人ではキャリア適応能力尺度(Porfeli & Savickas, 2012)で測定できます。

適応性、順応性、適応行動、および適応の間の相互作用。

より良い成果(適応の結果)は、変化する状況(順応的反応)に対処する対処行動を実行する意欲(適応への準備性)と能力(順応性資源)を持つ個人によって達成されます。航空旅行に例えることで、準備性、資源、反応、成果の違いを明確にすることができます。出発の準備として、客室乗務員は非常口の座席に座る乗客に緊急時に支援する「意欲と能力」があるかどうかを尋ねます。中には意欲はあるが能力がない人もいれば、意欲はないが能力がある人もいます。キャリア構築理論の言葉で言えば、客室乗務員は乗客に、緊急時に行動するために必要となるかもしれない意欲と資源があるかどうかを尋ねているのです。

適応と目標

適応の過程は、個人の目標によって促進され、方向付けられ、目標は内的な欲求と外的な機会を調和させます。興味は、個人のニーズと関連する目標を結びつけます。ラテン語で inter est は「間にある」という意味です。興味は、個人のニーズとそのニーズを満たす社会的機会との間に生じる心理社会的緊張状態です。個人は、目標達成に役立つ環境中の興味深い対象や活動を探します。当然、多くの人々は、入手可能な唯一の職に就かなければなりません。興味のない仕事の場合、レジャー活動を通じて自己を構築し立証し続けざるを得ない場合もあります。

著者としての自己:キャリアストーリーを語る (Self as Author: Narrating a Career Story)

 個人が青年期後期に達すると、社会は彼らに「人生を手に入れる」ことを期待します。それは自分の行動や主体性を統一した、その人だけの人生物語によって支えらるアイデンティティを手に入れることです。このアイデンティティ物語は総括ではなく統合で、学校から仕事への移行や思春期から成人期への移行における問題に対する統合的な解決を生み出す構成です。

アイデンティティ・ナラティブ

キャリアはアイデンティティ・ナラティブにおける中心的な主題で、個人が直面した課題、移行、トラウマに関する自己伝記物語によって明らかにされます。そこでは、俳優(アクター)が職務履歴書で何が起こったかを語り、代行者(エージェント)が職業の筋書きでなぜそれが起こったかを説明し、著者(オーサー)がキャリアのテーマでその意味を解釈します。E・M・フォースターは、物語と筋書きの違いを次のように示しました。「王が死んだ、そしてその後女王が死んだ」は順序があるため物語である。「王が死んだ、そして女王は悲しみにより死んだ」は物語に筋書きを加えています。物語化(エンプロットメント)は、別々の小さな物語を結論へ向かう順序に配置します。物語化は、小さな物語を取り入れ、人生の大きな物語を示し、それを裏付ける高次の物語を生み出します。

キャリアテーマ

キャリアテーマはプロットに統一性をもたらすだけでなく、連続性ももたらします。それは、個人がマイクロナラティブの中で多様性があっても自己と一貫しているからです。テーマは「今ここ」と「かつてそこ」を結びつけます。「私は(俳優の評判)になり、(主体の目標)を達成し、その過程で(作者のテーマ)を実現する。」
 例えば、「私はカウンセラーになり、人々が(何をするのか)手助けすることで、自分自身は(個人的な意味)」。あるいは「私は他人のために、かつて自分が傷ついていたときにしてもらいたかったことをするためにカウンセラーになった」と述べています。

キャラクターアーク

意味の担い手として、キャラクターアークは、個人がどこから始まり、現在どこにいて、ある重要な問題について最終的にどこに到達したいかを描きます。キャラクターは、アクターを形成し動かす家庭環境から始まります。彼らはキャラクターアークの根底にある欠点を修正しようとします。緊張から意図へと進む中で、困難を克服する方法を学び、その症状を強みに変えるのです。この悲劇から勝利への変容は、キャラクターの核心を表しており、つまりその人物を定義し、物語の推進力を説明するキャラクターアークです。

例えば、次の五つのよく知られたキャラクターアークを考えてみましょう

  1. 病弱な子供がチャンピオンボディビルダーになる
  2. 吃音の子供がニュースアンカーになる
  3. 内気な子供が俳優になる
  4. 貧しい子供が裕福になる
  5. 臆病な子供が勇敢な戦士

になる。これらのよく知られたアークは、

  • 個人が弱さから強さへ
  • 内気さから自信へ
  • 抑制から表現力へ
  • 貧しさから裕福さへ
  • 恐怖から勇気へ

と移行する文化的スクリプトを表しています。アクター、エージェント、オーサーの視点を実践に適用することで、キャリア介入のための改良されたスキームが構築されます。

アクター、エージェント、オーサーに向けてのキャリア介入(Career Intervensions for Actors, Agents, and Authors)

 キャリア構築理論によって説明される自己の三つの視点から、介入は、アクターのための職業指導エージェントのためのキャリア教育またはコーチングオーサーのためのキャリアカウンセリングがあります。以下の段落では、キャリア介入の異なるパラダイムとして、指導、教育、カウンセリングの基本的な違いを概説します。

職業指導(Vocational guidance)は、工業工場で働くために都市に移動する個人のニーズに応えます。個人差という客観的視点から、指導はクライアントを性格特性のスコアによって特徴づけられる可能性のある主体として捉え、彼らに似た人々を雇用する職業とマッチさせることがあります。一般的なパラダイムは、(a) 自己認識を高める、(b) 職業情報を収集する、(c) 自己と適合する職業をマッチさせることです。望ましくは、一致する位置に就き、成功・満足・安定につながることです。

キャリア教育とコーチング(Career education and coaching)は、クライアントを、エージェントと見なし、キャリアをさらに進展させる新しい態度、信念、能力を実践する手助けを行うことがあります。成人の場合、一般的にキャリアコーチングと呼ばれます。キャリア教育とコーチングの一般的なパラダイムは、(a) 発達状況を評価する、(b) 差し迫った発達課題および職業的移行を意識させる、(c) 関連する対処的態度、信念、および能力で準備を高める、というステップで構成されます。

キャリアカウンセリング(Career counseling)は、デジタル革命とグローバル経済によって形成された新しい世界に向けて準備・参加する個人のニーズに応えます。キャリアカウンセリングおよびライフデザインの一般的なパラダイムまたは実践パターンは、(a) キャリアストーリーを構築および解体する、(b) 職業の筋書きとキャリアのテーマを再構築する、(c) ストーリーの次のエピソードを共同構築します。

キャリア構築のためのカウンセリングモデル
(A COUNSELING MODEL FOR CAREER CONSTRUCTION)

 キャリア構築理論は、キャリアカウンセリングのモデルとして、実践的に、個人をオーサーとして指導するために作られたものです。また、役割を選択する際にアクターを導く要素や、移行への適応を準備するための要素も含まれます。カウンセリングが、個人がキャリアの物語において今までのエピソードから外れたり、筋書きを失ったときに、このナラティブ処理が開始されるとします。その目的は、クライアントが仕事生活や現在の転機や問題についての職業物語を語り、その職業物語を自己と仕事に関するアイデンティティ物語に統合し、その物語を使って転機の意味を理解し、感情を調整し、職業物語の次の場面を脚本化し、より満足のいく生活を構築する行動を移すことを促すことです。

 実践者は、クライアントに次のことから始めます。

  • 物語の現在のエピソードから自分を離脱させる出来事
  • 適応準備性とリソース
  • カウンセラーと共に共同構築したい新しいシナリオに対する目標。

 これら三つの質問に簡単に対処し、作業同盟を開始した後、カウンセラーは統一された質問セットを用いてクライアントにインタビューを行います。

 キャリア構築インタビュー(CCI; 旧キャリアスタイル/ストーリーインタビュー; Savickas, 1989, 2011a)では、クライアントは自己、アイデンティティ、キャリアをどのように構築してきたかを示す小さな物語、あるいはマイクロナラティブを語る。物語を語ることは自己を形作り、アイデンティティを結晶化させます。
 キャリア構築カウンセリングは物語に重点を置きます。なぜなら、物語の言語やイメージこそが、人々が自己を作り、アイデンティティを形成し、キャリアを構築するための構築ツールだからです。

“Language most shows a man; speak that I may see thee.”
イギリスのルネサンス期の詩人ベン・ジョンソンは、『言葉は人を最も示す。私に話してくれ、そうすれば君が見える』と書いた。繰り返される言葉とそれに伴うテーマは、クライアントが自己を示し、社会的役割を探求する行為を通してのアイデンティティの表れである。

構築:CONSTRUCTION

CCIの5つの質問は、行為者、代理人、著者、助言、そしてアークに関する職業的な物語を引き出します。

STEP
ロールモデル

カウンセラーは、クライアントにロールモデルについて尋ねることで、行為者としての自己をどのように構築してきたかを調べます。

STEP
興味

代理的な努力や目標を評価するために、カウンセラーはインベントリ化された興味ではなく、顕在的な興味についてクライアントに尋ねます。興味は、好きな雑誌、テレビ番組、ウェブサイトなどと結びついて現れます。

STEP
お気に入りの物語

カウンセラーはクライアントを著者として扱い、現在のお気に入りの物語の筋書きを、書籍であれ映画であれ説明してもらいます。

STEP
好きな格言

好きな格言を尋ねます。なぜなら、格言は通常、クライアントが職業上の次のエピソードに移行するために必要な適応リソースや適応行動について助言するからです。

STEP
古い記憶(ER)

最後の質問は、キャラクターアークについて、クライアントが思い出せる最も古い記憶(ER)を尋ねることで尋ねています。

 ほとんどのクライアントにとって、ERはモチーフと中心的な葛藤を描写する否定的な経験を示しています。それにもかかわらず、ERは主に将来に関するものであり、クライアントは現在または将来の行動を導く記憶を選択、詳述、再構築します。

脱構築:DECONSTRUCTION

 クライアントの外向きの広がりには内的な境界がある。クライアントの職業上の物語がキャリアを構築する中で、カウンセラーは脱構築を必要とする逸話に耳を傾ける。支配的な期待や潜在的な観念によってクライアントを消耗させる物語は、それらの自己制限的な考え、制約的な役割、文化的障壁を明らかにし打破するために注意深く脱構築されなければなりません。しばしば、最も脱構築を必要とする逸話には、性別、人種、社会階級に関する偏見が含まれます。これらの誤った考えを取り除くことで、クライアントが知っている世界に基づいた選択肢しか取れなかった以前には見えなかった、または可能でなかった道が開かれることがあります。同時に、個人は単に思い出すのではなく、過去を再構成(re-member)し、過去の出来事が現在の選択を支え、将来の行動の基盤を作るようにします。これは、現在が過去から教訓を学ぶのではなく、過去が現在から教訓を学び、現在の必要に合わせて自らを再構築する例です。この物語的真実は、もちろん、過去をフィクション化するため、歴史的事実とは異なる場合があります。そうすることで、変化の中でも連続性と一貫性を保ち、人はアクターとしての忠実性とエージェントとしての柔軟性をもってその変化に立ち向かうことができます。クライアントの職業に関する物語を注意深く聞き、時にはいくつかの気落ちさせる考えや出来事を分解した後、小さな物語を再構築し、キャリアの大きな物語へとまとめる時が来ます。

再構築:RECONSTRUCTION

 再構築と物語化は、クライアントの主観的なキャリアを作り出します。職業に関する物語のナラティブ処理は、重要な出来事を特定し、それらをキャリアに関する大きな物語、すなわちマクロナラティブに組み立てます。アイデンティティのナラティブは、本人が重要な他者と共に共同で構築した世界でキャラクターとなる人の物語を語ります。キャリアテーマは、プロットによって提示される支配的な概念を表しています。プロットの再編成とテーマの再構築は、感情を注入することでアイデンティティの物語を深め、より多くの職業的な物語を統合することでそれを広げます。
 クライアントの職業的な物語を聞きながらキャリアテーマを見極めようとする際、研究者やカウンセラーは人生の数多くの具体的事例に圧倒されることがあります。カウンセラーは事実そのものではなく、その事実をまとめ上げる糊を探して聞きます。それはテーマ、あるいは人生を一つにする秘訣です。キャリア構築の原型的テーマが個人的な関心事を公共の職業に変えることに関わると仮定することで、この課題に取り組むことができます。Csikszentmihalyi と Beattie(1979)が説明した「人生のテーマは、ある人が最も重要視する問題や一連の問題、そしてその人が解決を達成するために見つける手段で構成される」。職業領域では、問題が関心事であり、解決策が職業です。
 しばしば、クライアントが興味を構築するのを助けることを伴います(Kitson, 1942)。Carterは興味を「成長の過程での問題に対する解決策」と結論づけました。興味は、関心事から職業への道筋を示すことにより、生存戦略、統合的適応、そして最適な発達のための方策を描くことで、個人の一体性を維持しようとします—これこそが人生テーマの本質です。

共同構築:COCONSTRUCTION

 職業に関する物語からキャリアについてのアイデンティティ・ナラティブを再構築した後、カウンセラーはクライアントに対して、職業の筋書き、キャリアのテーマ、キャラクターの変遷を含む彼または彼女の人生の肖像の草案を提示します。クライアントがこのライフポートレートに関わり、感情的になる場合、カウンセラーはクライアントにそれを編集するよう促します。この修正には修正、調整、変更が含まれます。クライアントはこのライフポートレートをより生きやすいものにするために修正し、それを未来に拡張する必要があります。クライアントによるこの作業は非常に重要です。なぜなら、彼らがカウンセリングの理由がそこにあるからです。カウンセラーによる作業ではなく、クライアント自身による作業が、前向きな結果を予測します。言葉を見つけ、感情を体験するクライアントは、次の職業筋書きのエピソードを描くのを支える自己構築と意味づけの足場を築きます。
 クライアントとカウンセラーは、課題、移行、トラウマに関連する選択に直面するための意味の動きを率直に共に作り出すために協力します。人生のポートレートの共同構築は、現在の悩みを位置づけ、優先事項を明確にし、中心的傾向を活性化し、変容と発展の可能性を高めることを目的としています。ライアントは、自己やカウンセラーに対する意図がより明確になることで、職業上の筋書きにおける課題や混乱に立ち向かい、次の場面を思い描き、行動を開始する準備が整います。

行動:ACTION

 人々は自分の人生を実現する必要があります。次の場面を脚本化することはクライアントの経験を前進させますが、活動はクライアントに自分自身の先を生きさせ始めます。必要な行動とは、意図を意味を込めた行動に変えることです(。クライアントとカウンセラーは共に、クライアントを現在経験している状況から望ましい状況へと移動させる行動計画を作成します。決意の言葉による表現ではなく、行動を通じてクライアントは世界と関わります行動は自己形成、アイデンティティの形成、キャリア構築を前進させます。

まとめると、キャリア構築のためのカウンセリングは、クライアントが職業上の物語を言語化してキャリアを構築し、意味を不安定化させることで士気をくじく物語を解体し、アイデンティティの物語を詳述することで人生の肖像を再構築し、緊張を意図に変えることで職業のプロットの次のエピソードを共に構築し、より満足のいく人生を創造するための行動を取ることを含みます。したがって、その順序は、言語化、不安定化、詳述、変革、行動です。

ケーススタディ:CASE STUDY

キャリア構築カウンセリングモデルのライブデモンストレーションは、このアプローチの実践を示しています(Savickas, 2006, 2009)。次のケーススタディでは、クライアントが実現可能で適切なアイデンティティ・ナラティブを共構築できるよう支援するためにこのカウンセリングモデルを使用する方法を説明することで、キャリア構築を示しています。このナラティブにより、クライアントは教育および職業上の選択を行い、より満足のいく生活を送るための行動を取ることができます。

エレインとの出会い。カウンセラーが初めてエレインに会ったとき、彼女は20歳のフルタイムの大学生で、ソフォモアの秋学期をちょうど終えたところでした。春学期には専攻を宣言しなければなりません。彼女は専攻を決めることができませんでしたが、母親は彼女に事前医学(プレメッド)を宣言するよう促していました。彼女は自宅に住んでおり、毎日キャンパスまで通っていました。彼女は大学のカウンセラーとキャリアについて話したと報告しましたが、それでもさらに迷っていました。彼女はプレメッドを専攻し、その後医学校に進むだろうと予想していましたが、これについては確信が持てませんでした。彼女はカウンセラーに、自分にとって医学が正しい選択かどうかを探る手助けをしてほしいと考えていました。
 彼女は時々、工学の方がより良い選択だと思い、秋学期に工学の授業を受けました。化学工学は良い選択かもしれないと考えていましたが、土木工学の方が簡単に思えました。彼女は、別の大学から情報を取り寄せており、その大学では化学工学カリキュラムにコンピューターをよりうまく統合していました。彼女はコンピューターに惹かれ、もしその大学に転校した場合、寮に住むことができるという考えが気に入りました。カウンセリングが彼女にどのように役立つかという質問に対し、エレインは、自分がなぜ学問の専攻を選べないのか分からず、選択をする手助けが必要であり、医学が自分にとって正しい選択かどうか疑問に思っていると答えました。

キャリア構築面接(初回セッション)

カウンセラーの天才性は答えを見つけることではなく、質問をすることにある。クライアントは答えを知っており、カウンセラーの質問がクライアントに自分の知っていることを認識させる手助けをする。カウンセラーはCCI(Savickas, 2011a)のストーリー作成の質問を始める際、エレインを役者として知るために3人のロールモデルについて尋ねた。エレインは「赤毛のアン」は精神があり、気性があり、目標を設定してそれを追求し、自分のやりたいことを行い、誠実で楽しんでいたと述べた。『時間のしわ』という本のヒロインは、心を支配しようとする生き物たちに対して友人たちを率いて対決した。彼女は一緒に行動し、生き物と戦う方法を考えた。
 『大草原の小さな家』という本のローラは、やりたいことについて突飛なアイデアを持っており、他人と競い合ったり、勝ったりすることを楽しんでいました。好ましい環境や示される興味を評価するために、カウンセラーはイレインにお気に入りの雑誌、本、テレビ番組について尋ねました。彼女はファッションに関する『Vogue』、広告キャンペーンに関する『BusinessWeek』、男性向けの服についての『Details』が好きでした。彼女のお気に入りのテレビ番組は『ラヴァーン&シャーリー』で、トラブルに巻き込まれずに型破りなことをするからです。カウンセラーが彼女のお気に入りの物語について尋ねたとき、イレインは『The Search of Mary Kay Malloy』だと言いました。これはアイルランドの少女が一人でアメリカへ旅する話です。イレインはお気に入りの言葉が二つあると話しました。一つ目は『おさるのジョージ』からで、「私は物事に興味があります」というものでした。二つ目は「うまくやる」というもので、彼女にとってはほぼ完璧にという意味でした。CCIを完成させるために、イレインは次の幼少期の記憶を報告しました。「祖父母と叔父とその彼女とディズニーランドに行ったこと。私はキャンピングカーの後ろで祖母のために歌ったり踊ったりしていました。祖母は怪我をしないように座るように言いました。叔父の彼女に話しかけようとして彼女をイライラさせてしまいました。話しかけようとしましたが、彼女は私がその間動くべきではないと思っていました。」イレインはこの話に次の見出しを付けました:「じっと座らなければならないのでイライラする小さな女の子」

イレインの物語を再構築する。CCIの質問に答える中で、イレインは自身のキャリアを構築する職業上の物語を語った。キャリア構築カウンセリングにおける次の課題は、これらのマイクロストーリーを一つのマクロナラティブに編み込むことによって再構築することである。イレインの物語を理解し始めるために、カウンセラーはまず彼女がカウンセリング経験をどのように活用したいかを確認した。彼女の目標は、物語をどの視点から見るかを示す枠組みとなった。イレインは、カウンセラーに、なぜ自分が選択できないのかを理解する手助けをしてほしい、そして医学か他の何かかを選ぶ段階に近づける手助けをしてほしいと望んだ。したがって、キャリアに関する物語をレビューする際、カウンセラーは彼女のキャリアに対する統制感や意思決定の経験に注意を払った。次に、カウンセリングの目標を考慮した後、カウンセラーは彼女のキャラクターアークの根底にある関心事を検討した。これは、ERの中で最初の動詞を見つけることから始まった。なぜなら、それはクライアントにとって特に重要な行動の形を示すからである。
 イレインのER(演劇日誌)では、最初の動詞は「行く」です。これは、彼女が動きたい、行動的でありたい、旅行したいことを意味しているかもしれません。その後、カウンセラーはこの考えを支持する証拠を探すために残りの物語を検査しました。検査の結果、ER内で「動き回る」と「踊る」というフレーズが見つかり、さらに彼女の好きな物語でも支持されました。その物語は、ある少女が他国へ旅する話です。「歌うことと踊ること」は彼女にとって重要なようです。彼女は人生に対して熱意を持っています。また、ERには「try(試す)」が三回現れ、イレインが困難な目標を追求するのに勤勉で粘り強いことを示唆しています。「talking(話すこと)」もERに現れ、彼女がコミュニケーションを好み、他者を説得して考えを変えさせようとすることがわかります。そして最後に、ERでは成人女性が彼女に座って踊るのをやめるよう言います。カウンセラーは、行動したいという気持ちと、座っているように言われることの間にイレインの生活に緊張があることを認識しました。ERが行動を引き起こすのではなく、むしろ彼女が現在の葛藤を反映するためにそれを再認識したことを覚えておくことは重要です。利用可能な多くの物語の中から、クライアントは自分自身が今聞く必要がある物語を語ります。第三に、カウンセラーは、イレインがERのために作成した見出しを、彼女の物語の要点を表現する修辞的圧縮として考えました。
 エレインの視点からすると、彼女は「小さな女の子」のようで、力を持つ他者が彼女の夢を熱心に追いかけるのを妨げることに苛立っています。彼らは彼女を自分たちが置いた場所に留めておきたいのです。この見出しは二通りの読み方をする価値があります。一方では、彼女の職業上のプロットを形作るキャリアテーマについてより多くを明らかにします。他方では、現在において、カウンセリング中に彼女が取り組みたいと考えている問題を示しています。彼女は、カウンセラーに自分の行動と人生への情熱を促してもらいたいだけでなく、他者に自分の計画を受け入れさせ、人生を奪われないよう説得する方法を教えてほしいと考えています。
 第四に、カウンセラーはエレインを俳優として、そして彼女が構築したキャラクターとして扱った。エレインが自分のロールモデルをどのように描写するかは、彼女の自己概念の核心的要素を明らかにし、彼女が世界でどのように行動したいかを表現している。エレインの主要な人物たちは、精神、熱意、遊び心、目標、競争心、粘り強さ、気性、間違った権威に立ち向かうこと、そしてその戦いに仲間を巻き込むことを模範としている。これらの特質は、彼女の他の物語にも表れている。彼女は、楽しくて問題にならない限り、突飛なアイデアや通常とは異なることをすることを恐れない。
 第五に、カウンセラーは、イレインがキャリアを築く上でどのように問題を解決しようとしているのか、そして職業が彼女の直面する問題を積極的に克服する助けになる方法を理解しようとしました。そのために、カウンセラーはERで語られた痛みや問題を、彼女のロールモデルが示した暫定的な解決策と比較しました。イレインの場合、ERでは、遊び好きの少女が「じっと座って言われたことをしなさい」と言われる様子が描かれています。これはもちろん、現在のジレンマ―母親にプレメッド専攻を言われてじっと座ること―と共鳴しています。この「じっと座る」という行為は、彼女の優柔不断の比喩かもしれません。カウンセラーは、この理解を、じっと座るように言われることへの執着から、自分の独立のために闘う自己を築こうとする努力へとライフラインを引くことで要約しました。
 第六に、カウンセラーはホランドのRIASEC六角形の視点を通して、エレインの明示的な関心を見ながら、彼女の職業上の嗜好を評価しました。彼女はファッション、服飾デザイン、広告キャンペーンに興味を示しています。彼女は問題を起こさずに型にはまらないことをするのが好きです。六角形の視点で見ると、カウンセラーはエレインが最も芸術的タイプと企業家的タイプに似ていると考えました。創造することと影響を与えることが彼女の2つの最も強い関心です。この組み合わせを持つ人々は通常、創造的なリーダーシップや革新的なプロジェクトの潜在能力を示しますが、職業の枠には簡単には収まりません。また、旅行や冒険が好きで、独自性を示すこともあります。起業家的・芸術家的タイプは、通常は指揮を執るタイプが起業家的・従来的タイプに似ているため、第二指揮者やチームの一員でいることにより快適さを感じるようです。考えられる職業をブレインストーミングするために、カウンセラーはO*NETにアクセスし、起業家的・芸術家的および芸術家的・起業家的としてリストされた職業を探しました。エレインの明示的な興味の中で現実的(Realistic)や探究的(Investigative)の特徴が欠けていることは、エンジニアリング(IRE)や医療(IRS)の分野における人としては典型的ではないようです。もしエレインがエンジニアリングを追求するなら、デザイン作業を重視する専門分野かもしれません。もし医療を追求するなら、病院管理のような起業家的専門分野か、皮膚科や形成外科のような芸術的専門分野かもしれません。
 第七に、カウンセラーはエレインが現在好んでいる脚本に目を向けました。その脚本は、自分自身を探すために全国を旅する若い女の子の物語です。エレインはこの脚本を実際に生きており、彼女自身を探さなければなりません。彼女はまだ自分のアイデンティティを明確にしておらず、母親が彼女に医師という職業的アイデンティティを押し付けようとする試みに立ち向かっています。彼女の職業的優柔不断はアイデンティティの混乱に根ざしているように見えます。キャリアカウンセリングは、おそらく特定の専攻に深く専念して探求するよりも、アイデンティティへの介入と職業の幅広い探索に集中すべきでしょう。彼女自身への助言も同じです—好奇心を持ち、正しく行うこと。
 第八に、カウンセラーはエレインのキャリア適応力を評価しました。それは彼女の優柔不断さと自己同一性の曖昧さと一致しています。彼女は職業的アイデンティティを明確にするという職業発達課題に取り組んでおり(職業移行や仕事上のトラウマではありません)、学問専攻や職業選択を具体化する前段階として、職業分野に対する暫定的な好みを持っています。彼女は将来について深く懸念しており、それは2度目のキャリアカウンセリングを受けたことからも示されています。彼女の発言から、彼女の適応力における最大の欠点はキャリアコントロールの欠如であることが明らかです。カウンセラーは、エレインが自分の優柔不断さを弱点ではなく強みとして捉えるのを助けます。それは、彼女のキャリアをコントロールしようとする強力な存在と戦うための彼女の方法です。彼女は、可能な自己や代替の職業について多少の好奇心を示しています。たとえば、彼女は別の大学に情報を求めて書簡を送っています。彼女はすでに、探求的な行動が最も重要であることを暗黙のうちに理解しています。なぜなら、彼女自身への助言が「好奇心を持ち、正しく行動すること」であるからです。彼女はそれを実現する能力にもっと自信を持つことができます。自己制御感が高まり、情報収集を増やすことで、彼女のキャリア自信は成長するでしょう。

人生の肖像画を再構築する。俳優、エージェント、著者、助言、およびアークを考慮した後、カウンセラーはそれらを人生の肖像画に統合する段階に移った(Lawrence-Lightfoot & Davis, 1997)。カウンセラーは、クライアントがカウンセリングの過程で加えるべき仕上げの要素を挿入・展開する余地を残しながら、エレインの状況を捉える人生の肖像画を作成した。その肖像画は、「私は誰か?」「私の使命は何か?」「どうやって成長し、繁栄できるか?」といった暗黙の問いに対する暫定的な答えを含んでいた。肖像画は主要なキャリアテーマを強調し、繰り返し示して、その重要性と妥当性を確認した。その後、カウンセラーはテーマとそのキャラクターアークを用いて、クライアントの個別のキャリアストーリーの意味を団結させ、多様な職業上の物語を統合したナラティブ構造にまとめた。カウンセラーは、クライアントが意思決定能力を高めるために何がかかっているのか、どのような選択肢があるのかを明らかにするつもりでした。カウンセラーは、クライアントが演じたいと思うキャラクター(革新的なリーダーまたはイノベーションのリーダー)、物語の舞台(旅行や冒険)、現在演じたい脚本(自己発見)、自分自身に与える助言(好奇心を持ちつつも慎重であること)、キャラクターの弧(自分自身の考えを決めるのに苦労する)を含む描写を描いた後、カウンセラーはエレインと、彼女がカウンセリングに持ち込んだ目標についての会話を始める準備ができました。

第2回目のセッション。

優れた映画監督は、視聴者を場面や瞬間に引き込む前に、まず景観(ビスタ)を設定します。同様に、カウンセラーは、エレインがカウンセリングをどう活用するかという冒頭の問いに対する反応を振り返ることで、景観を描きました。その後、カウンセラーは彼女の発達の軌跡を際立たせる形で人生の肖像を提示しました。特に、問題から強みへの移行を示すことで、彼女が緊張から意図への自分自身の動きを実際に感じられるようにしました。カウンセラーはその肖像を暫定的なスケッチとして提示し、エレインが自分の理解に合うように修正・改変するよう招きました。最終的に、共に構築された描写の妥当性は、クライアントにとっての有用性によって判断されます。
 カウンセラーは、エレインの現在のキャリアテーマを、彼女の心や、特に今回の場合は彼女のキャリアを奪おうとする強力な生き物と戦うこととして描写しました。彼女は静かに座ってその生き物たちに有利な選択を拒み、個人的な資源と社会的サポートを集めて自分自身の選択をすることで反抗します。そしてカウンセラーは彼女の反応と修正を得るために一時停止しました。カウンセラーはこの描写に対する彼女の感情を探求しました。なぜなら、感情は意味を生み出すのに役立つからです。彼らはまた、特に彼女が最も誇りに思っている個人的特性など、彼女の強みも見ていきました。その後、彼らは、彼女が現在直面している問題が実際にはこれまで彼女が思いついた中で最善の解決策であることについて話し合いました。

 たとえば、イレインと彼女のカウンセラーは、彼女の決断の迷いを問題としてではなく、キャリアを奪おうとする存在たちと戦うために、彼女自身が見つけた最良の解決策として再構築しました。その存在たちは、彼女に彼らの望むことのためにじっと座らせようとしていました。このようにして、カウンセラーは彼女に言語、特に彼女自身のお気に入りの比喩や動詞を、状況をコントロールし主体性の感覚を高める手段として使う方法を助けようとしたのです。そしてカウンセラーは、ERでの彼女の個人的な物語(歌うこと、踊ること、説得すること)が、芸術的および起業的な活動における彼女の職業的関心をどのように示しているかを理解するのを助けました。最終的に、イレインと彼女のカウンセラーは、カウンセリングで抱えてきたキャリアの悩みに対応するために彼女が使いたいと考える人生のポートレートのバージョンを共同で構築しました。
 彼女のキャリアの物語の共同構築は、すでにエレインの最初の関心事—学問の専攻に関してなぜ決断できないのではなく、決断しないのかを理解する—に対処していた。したがって、カウンセラーは彼女の第二の疑問—医学のキャリアがどれほど彼女に適しているか—に移った。彼らは彼女の明示的な関心と、彼女が社会においてどのように自分を位置づけたいかを検討した。彼らは、独立心があり、創造的で活発なリーダー、マネージャー、またはスーパーバイザーであるという彼女の関心について話し合った。カウンセラーは、もし彼女が医師になるなら、形成外科や皮膚科などの専門分野に惹かれる可能性が高いだろうとコメントした。彼らは、彼女がコンピュータ専攻の情報について書いたことがあると述べたので、コンピュータサイエンス、広告、マーケティング、ビジネスマネジメントの専攻を探求することについて話し合いました。また、彼女が可能な自己や将来のシナリオを考える際に、移動したり、旅行したり、冒険することの重要性についても話し合いました。何よりも、彼女が繁栄できる方法や、自己定義や自己決定が可能な場所を見つけることについて話し合いました。

医療が自分にどの程度適しているか、また他にどの分野を探求する価値があるかという問題に彼女が納得する形で取り組んだ後、カウンセラーは彼女の三つ目の質問、すなわち専攻を選ぶためにどのように前進すべきかという質問に移った。彼らは、現在の立場から前進する方法について、代替的解決策や可能な自己像を含めて議論した。カウンセラーは、発達は活動と、世界で直面する困難を克服することから生じると説明した。その後、彼女が望む人物に近づくための自己構築活動について、例えば自宅を離れての夏季の仕事、大学の寮での生活、アサーティブネスに関するワークショップの受講、家族問題についてカウンセラーと話すことなどについて話し合った。彼女はその会話によって励まされ、自分の人生を振り返ることで前に進む能力とその決意を持てたと感じた。彼らは次の学期の中頃に電話で話し、夏の間に再び会うことで合意した。

フォローアップ

翌年の夏、彼女がカウンセラーを訪れたとき、エレインは、自己主張の継続教育コースを受講し、親との関係を改善し完璧主義を減らすために大学のカウンセラーと5回セッションを行い、夏の間遊園地で仕事をしながら家を離れて生活し、コンピュータサイエンスと広告の選択科目を修了したと報告しました。彼女は化学工学を専攻しコンピュータサイエンスを副専攻にすると宣言していましたが、それでもマーケティングの方が自分に合っているかもしれないと考えていました。

エピローグ

カウンセラーがエレインに次に会ったのは、彼女が化学工学を専攻し、コンピュータサイエンスを副専攻として卒業した後だった。彼女はカウンセラーに、授業をどれだけ楽しんだかを話したが、多くの教授たちによる性差別にはうんざりしていたと語った。その偏見に対抗するために、彼女は工学を専攻する女性のためのクラブを組織していた。彼女は、性差別に立ち向かう中で成し遂げたことを誇りに思っていた。さらに誇りに思っていたのは、最近手に入れた職業上の地位だった。2週間後、彼女は大手化学会社でコンピュータシステムアナリストとしての仕事を始める予定だった。この職は、同僚のチームとともにアメリカ各地を巡り、地域支店でコンピュータの問題を解決することを求められるものだった。
 さらに、エレインはカウンセラーに、自分と母親が今では仲良くなり、母親が自分の成果を誇りに思い、将来の見通しに満足していると話しました。エレインは、母親に「じっとしてはいけない」と言われながら後押しされる、活動的な女性になることを楽しみにしていました。彼女は、私たちが話したことを使ってルームメイトや友人がキャリア選択をする手助けをしたことを話すとき、輝いていました。6年後、化学工学コンサルティングの修士号を取得した後、彼女は化学製品設計のコンサルタントとして働き、余暇には服のデザインを楽しんでいました。

結論と実践的示唆
CONCLUSIONS AND PRACTICE IMPLICATIONS

 キャリア構築理論は、個人がアクター、エージェント、そしてオーサーとして自己を作り、アイデンティティを形作り、キャリアを築く際に用いる解釈的かつ対人的なプロセスを説明します。 この理論は、職業発達課題、職業的転換、および仕事におけるトラウマに対処する上で、二つのメタ能力——適応力とアイデンティティ——の役割を強調します。 適応力は、自身の職業生活を導く意志と能力を植え付け、アイデンティティは職業行動や仕事の活動に意味を付与します。この理論は、キャリア介入を選択するための枠組みを構築し、キャリア構築カウンセリングのモデルに情報を提供します。キャリア構築カウンセリングにおいて、エージェントはクライアントがアクターとしての評判、エージェントとしての努力、オーサーとしての繰り返されるテーマを理解するのを支援することがでます。そしてより重要なのは、キャリア構築のカウンセリングは、アクターがより満足のいく人生を創造する行動を選択し、取り組むために、自身の適応力とアイデンティティを活用することを促す点です。

  1. キャリア構築カウンセリングは、クライアントが自分の人生を設計し、職業の選択を行い、職業上の変化に対応し、仕事上の問題に対処する際に意味を見つけ、意図を形成し、目的に沿った行動をとることに重点を置きます。カウンセリングは、より満足のいく生活と成功したキャリアに導く行動を脚本化するキャリアナラティブの共同構築、分解、再構築、および共同作成を伴います。
  2. キャリア構築カウンセリングの開始では、実践者がクライアントにカウンセリングがどのように役立つかを尋ねます。カウンセラーは各クライアントと協力して、カウンセリングのための共通の目標を作り、その目標が協働関係を促進するものとなるようにします。
  3. キャリア・ナラティブの構築は、カウンセラーがクライアントから重要な出来事、繰り返し起こるエピソード、自己を定義する瞬間についての話を引き出すことから始まります。カウンセラーは、クライアントにロールモデル、楽しんでいる雑誌やテレビ番組、お気に入りの本や映画、心を慰めるモットー、初期の記憶について尋ねることで、そのような話を促すことがあります。
  4. これらのマイクロナラティブを解体するには、カウンセラーはクライアントの物語に自己制限的な考え、制約のある役割、または文化的障壁が含まれているかどうかを考慮する必要があります。物語がクライアントを制約している場合、カウンセラーはクライアントが物語について異なる視点で考え、新しい意味を見出し、可能性を開き、停滞している取り組みを再開できるよう支援します。
  5. 再構築とは、小さな物語を統合して、物語を結び付ける職業上の筋書きや、それらに意味を持たせるキャリアのテーマに焦点を当てた大きな物語、マクロナラティブに組み込むことを含みます。その結果得られる人生の肖像は、経験を再構成して価値観を堆積させ、優先事項を強調し、繰り返される行動傾向を明らかにします。
  6. 協働で共同構築することで、人生のポートレートは新しい言語、新しい視点、そして次のキャリアストーリーで何がかかっているかを説明する拡張された見通しとともに修正されます。この自己の明確化により、クライアントは自分自身やカウンセラーに自分の意図をより明確に示すことができます。この新たに得られた明確さにより、クライアントは次の場面を想像し、優先順位を選び、意図を形成することができるかもしれません。
  7. 新しい意味を実行することは、意図を行動に変えます。クライアントは次の場面を実行し、新しい物語を生きる勇気を見つける必要があります。もしクライアントがその選択を実行することをためらう場合、実践者は考えられる障害や適応資源に注意を払います。
  8. キャリア構築カウンセリングの終了には、クライアントがカウンセリングに持ち込んだ目標を達成していることを確認することが含まれます。カウンセラーは通常、カウンセリング中に起こったことを要約する数文で締めくくります。最終的に、キャリアの問題は新しい情報を提供することで解決されるのではなく、クライアントがすでに知っていることを明確にし、この知識に基づいて意図的な行動を促すことで解決されます。

以上

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