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自己、他者の次は社会(2)

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原因帰属に伴うエラーとバイアス

原因帰属を行うときに、先の対応推論理論と共変モデルは必要な情報がそろっている前提の「あるべき姿の規範モデル」ではなく、情報が十分のそろっていない「ありのまま記述モデル」を選ぶことが多いです。したがって合理的ではない推論の基で起きうる帰属エラーを学びたいと思います。

基本的な帰属エラー(対応バイアス)

原因帰属のエラーでもっともよく知られるのが、基本的な帰属のエラー対応バイアス:Ross, 1977)です。これを命名したロスは「基本的な帰属のエラーは、社会心理学の根幹をなす概念」と主張しています。

それは、他者に関して

  • 他者の行動の原因を考える際、その行為者内的属性(性格・態度)を重視しすぎる傾向にある
  • 他者の行動の原因が、下記のどちらかの時に、本人の内面と考えやすい(内的帰属
    • 本人の内面(性格、能力、意図、感情等)にあるか
    • 外部の環境・状況(物理的・社会的な環境)にあるか

例えば、クイズの司会者をやっている人は賢そうに見えている場合で、最初から回答知っているだけなのに誤答した回答者に正答を告げる際に、彼らが高い知性があるように帰属しています。

その理由として、

1.行為者自体が、状況よりも知覚的に目立ちやすく、重要な情報と見なされやすい
2.他者の内的行動を知ることは。その人の将来の行動を予測することに繋がり、類似した状況で対応しやすい

などにより、内的属性の帰属が偏重されると考えられます。

自己に関する原因帰属のバイアス

原因帰属に関するその他のバイアスとして、今度は自己に対するバイアスです。

つまり行為者が自分自身である場合、

  • 行為者一観察者バイアス(Jones and Nisbett, 1971)
    同じ行為に関する原因帰属が、行為者と観察者では異なる行為者外的要因に、観察者内的要因に帰属しやすい
     例えば、犯罪を犯した本人が取り巻く環境に対して理由を考えるのに対して、他者は本人自体に原因を帰属しやすい
  • セルフ・サービング・バイアス(Braddley, 1978)
    自分自身を助けるためのバイアス(自己奉仕バイアス) 成功内的要因に、失敗外的要因に帰属しやすい
     例えば、試験に上手くいったときは自分の実力、失敗したときはその時の状況など自分以外に原因を帰属しやすい

誤帰属

真の原因でない要因に誤って原因を帰属することを誤帰属と呼びます。これは、自己の内的状態の変化がわからないにもかかわらず、もっともらしい原因を周辺環境から見だしてしまうという私たちの推論傾向に由来しています。

例えば、

吊り橋効果(Dutton and Aron, 1974)

吊り橋の上では、橋の揺れなどにより、心拍数が上がるなどの生理的な喚起が生ずます。同じように魅力的な異性にあった場合もも同様に生理的な喚起が生ずることがあります。このため、吊り橋で目の前にいる異性に出会うと、橋の恐怖による生理的な喚起を異性に対する好意と誤って解釈される場合があるます。

単純接触効果(Zajonic, 1968)

本来中性的な刺激でも、繰り返し経験すると、その刺激に対する効果が増すことが知られている。例えば、度々会う人に対して段々好意を持っていくことなどあります。

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