
キャリア理論を原著や翻訳本を読むことはあまり無いと思います。多くの場合、理論を解説した文章により、その考えに間接的に触れることが多いと思います。そこで起きるのは、訳者により表現が違っていたり、何か説明がしっくりこない事があります。著者の意図を知りたいと思うと、何重ものベールを剥がして作者の直の言葉に触れたくなります。ただ原著を一人で読むには英語力やモチベーションを保つ点で踏み出せません。
そんな時に踏み出す勇気をあたえてくれるのが輪読会です。数人のグループで分担し、集まって順番に読み上げることで、より理解が深まります。特に異なる視点で見ることにより、一歩先の理解が得られる場合があります。何よりも一人で外国の荒野で茫然としているときに、互いの声がけにより励ましあい足を進めるような、きっかけをあたえてくれます。そして最後に1冊の本を読み切ると、仲間とあんなに高かった頂上に立ったような達成感を味わえます。

そう考えてみると、原著の洋書に対象を限定せず和書さらには翻訳和書も対象に含めていくよう思い至りました。つまり輪読会で読むグループダイナミクスに価値があると方向性を変容中です。
お気に入りのある言葉を紹介します。「幸せは分ち合うことで、初めて本当の幸せになる。」“Happiness only real when shared” (Career Construction Counseling Manual p57引用の『イントゥ・ザ・ワイルド(Into the Wild)』より)
候補書籍(太字は輪読中あるいは完読)
- 心理学・カウンセリング理論
- サビカス
- Career Construction Counseling Manual (Savickas) 84page 2024/2/28-2025/5/28
- サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル 遠見書房 120page
- Career Construction Interview (in Career Counseling, Second Edition p57-70) APA
- サビカス キャリア・カウンセリング理論 福村出版 224page
- ロジャーズ
- Significant Aspects Of Client-Centered Therapy (Carl Rogers) 20page 2025/4/23-2025/6/3
- ロジャ-ズのカウンセリング(個人セラピ-)の実際: 英和対訳 54page 次の候補(Mis Mum逐語)
- これが私の真実なんだ: 麻薬に関わった人たちのエンカウンタ-・グル-プ: 英和対訳 154page
- やさしいカウンセリング講義 (大阪経済大学研究叢書 第 56冊) 277page 次の候補(Gloria逐語)
- ロジャーズと来談者中心療法(心理カウンセリング序説 ’21放送大学テキストp140-154)
- その他
- Identity: Youth and Crisis (Erik H. Erikson) 336page
- Career Counseling A Narrative Approach(Larry Cochran) 151page
- Toward a Psychology of Being(Abraham Harold Maslow)240page
- Flow: The Psychology of Optimal Experience (Mihaly Csikszentmihalyi)334page(本文231頁)
- サビカス
- 組織開発(グループダイナミクス)・社会構成理論
- 組織開発入門
- 入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる~(中村 和彦) 204page 2025/3/6-
- 人間関係トレーニング 第2版: 私を育てる教育への人間学的アプローチ(津村 俊充)198page 次の候補
- Appreciative Inquiry(ナラティブ組織開発)
- Appreciative Inquiry: A Positive Revolution in Change (David L. Cooperrider, Diana Whitney ) 96page
- 対話型組織開発(AI)を用いた いきいき社員づくり:Appreciative Inquiry(アプリシエイティブ・インクワイアリー:AI)とワーク・エンゲイジメントについての基礎的な知識を手に入れ、実務に役立てる オンデマンド (ペーパーバック) (多湖雅博 )154page
- ポジティブ・チェンジ〜主体性と組織力を高めるAI〜 (ダイアナ ホイットニー)268page
- 組織開発入門
もし候補本で何かご提案あれば、ご連絡ください。
あわせて読みたい




足場でも良いみたい
「発達心理学概論(’17 放送大学テキスト)」を読んでいたら、ロシアのヴィゴツキー(Vygotsky, 1896-1934)の「発達の最近接領域」の説明で、「足場かけ」「足場外し」…
あわせて読みたい




ロジャーズ先生を伺い知る
オンラインキャリアらぼのキャリア原書の輪読会では、カール・ロジャーズ先生の「Significant Aspects Of Client-Centered Therapy 」(クライアント中心療法の重要な側…
あわせて読みたい




モヤおやつ2(ランク、タフト、アレン)
第2弾のロジャーズの”Significant Aspects of Client-Centered Therapy”から湧いたモヤおやつは、2章以降に取り上げる話題として取捨選択の中で廃棄したほうの、「ク…
あわせて読みたい




モヤおやつ1(今回の本の位置づけ)
オンラインキャリアらぼの原著輪読会の2冊目はリクエストが多かったロジャーズの”Significant Aspects of Client-Centered Therapy”です。始めてみると小冊子ですが思い…
あわせて読みたい




ロジャーズの変容(終)
今回のロジャーズの変容シリーズも、最後に日本に入りその像がどう変容したかを紹介して締めたいと思います。当時米国の最先端の理論であったロジャーズの非指示的技法…
あわせて読みたい




ロジャーズの変容(3)
前の(2)で、1951年に”Client-Centered Therapy : Its Current Practice, Implications and Theory”で「来談者中心療法(client-centered therapy)」、1957年に”The …
あわせて読みたい




ロジャーズの変容(2)
前回まで、ロジャーズは虐待を受けた児童の臨床にかかわる中で、フロイト派の問題を探り出して解釈して介入するというカウンセリング手法に疑念を抱き、オットー・ラン…
あわせて読みたい




ロジャーズの変容(1)
少なくとも日本でカウンセリングの理論家と言えば思い浮かぶのはカール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers:1902-1987)ではないでしょうか。放送大学の「21’心理カウン…
あわせて読みたい




RIASECよりこっち!
サビカス輪読会のキャリア構築インタビューでは2番目の質問の「お気に入りの雑誌、テレビ番組、ウェブサイトを3つ」からクライエントの興味・関心と現在の仕事や活動の…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(キャラクターアーク)
気になるワード「character arc(キャラクターアーク)」 Career Construction Counseling Manualの第4章のTask3(step3)は、カウンセラーがCCIの5つの質問に対するク…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(振り返り)
原著輪読会の第1弾のサビカスの”Career Construction Counseling Manual”も終盤戦に入りました。改めて今読んでいる本の概要をまとめました。初めは金の糸のメカニズム…
あわせて読みたい




save the day
輪読会で読んでいるサビカスの”Career Construction Counseling Manual” の一節に、 She described Wonder Women, and implicitly herself, with the words helpf…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第5章)
いよいよ最終章です。キャリア構築インタビューの結果を元にカウンセラーが書き上げた人生のポートレイトの初稿をクライエントに語る第2セッションが始まります。そこ…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第4章)
第1セッションでは、Eliciting the Transition Narrative(第2章 転機の物語の聞き出し)と Career Construction Interview(第3章 キャリア構築インタビュー)を実…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第3章)
第3章はキャリア構築インタビュー(CCI:Career Construction Interview) の章です。ここではインタビューの内容と意味を一つ一つ丁寧に説明をしています。 その目的と…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第2章の2)
最初のセッションで、カウンセラーが聞き出した転機の物語をどう見たてるかの話に入ります。 カウンセラーは、私が「転機の物語」と呼ぶこの短編小説が、予感する主題(…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第2章の1)
第2章に入りました。最初にカウンセリングが二つのセッションからなることと、その各セッションの概要が説明されます。 STEP最初のセッション カウンセラーは、最初の…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第1章の3)
第1章の終盤は、先のCCCプロセスでさらっと語った核心部分の「信頼関係(Relationship)」「振り返り(Reflection)」「意味付け(Sense-making)」を個別に詳しく述べてい…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第1章の2)
次回2回目に向けて第1章の後半に向けて読んでいる途中です。ここからは従来の職業ガイダンスとCCCの比較から始まり、CCCのカウンセリングプロセスをさらっと紹介してく…
あわせて読みたい




キャリア原著輪読会(進め方)
サビカス輪読会の初回にメンバーに提案した案を紹介します。回を重ねる中で皆さんの意見をお聞きしながら適宜修正したいと思います。 会の進め方・訳あるいは感想はそれ…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(第1章の1)
初回輪読会を無事終えました。参加する皆さんの様々なバックグランドからの視点で、サビカス先生の伝えたい姿勢が少し見えてきた気がしています。自分なりに感じたポイ…
あわせて読みたい




サビカス輪読会(さわり)
輪読会の1冊目の“Career Construction Counseling Manual” Mark L. Savickasを先読み始めました。 まだ10ページ程度の入り口ですが、かなり魅力的な文章が出てきました…