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四つの<物語>で学ぶ(1)

サビカス研究会でこれから読む、「サビカス キャリア構成理論 四つの〈物語〉で学ぶキャリアの形成と発達」の概要を眺めます。

本の位置づけ

本書は、下記の主要な書籍群のなかの”Career Construction Theory: Life Portraits of Attachment, Adaptability, and Identity”の和訳(赤い破線)の和訳にあたります。 

この本では、四人の白人男性の中学から定年までの約40年にわたる研究を基にキャリア構築理論の提示と実例ケースへの適用を紹介しています。(注:本書ではキャリア構成と書かれていますが、ここではキャリア構築と表記します)

タイムライン

サビカス博士のwww.marksavickas.com/に記されたバイオグラフィを基に、こちらで作成したタイムラインから推定すると、この研究の40年は、サビカスがケント州立大学で博士号を取得した後の「キャリア選択の準備の発達構造が一貫的な性格構造と深く関連している仮説の調査」のプロジェクトのころ始まり2019年に本書”Career Construction Theory: Life Portraits of Attachment, Adaptability, and Identity”を刊行する間に収まります。つまりキャリアスタートから最近までの研究者として生涯かけた研究と言えます。

概要

各章の構成

  • 第一章では、理論の定義である3つの命題と45の前提及びメタ理論を解説しています。
  • 第二章では、ケース研究の方法や材料とともにこの研究の根拠を説明しています。
  • 第三章から第六章は四人の研究参加者がどのようにしてキャリアストーリーが組み立てられたかが描かれています。
  • 最終章(第七章)では、キャリア構成理論の概念とテーマに触れながら、四つのケースの全体的概観をします。

 本研究会では、監修の水野さんのお勧めに従い、本文の白眉となる第三章から第六章までの四人の生々しい物語をたどるところから始めて、第一、二、七章で理解を深めたいと思います。

研究目的と方法

 職業行動と発達の理論であるキャリア構成モデルについて、アタッチメント(愛着)による自己体系立て、アダブタビリティによる自己調整、そしてアイデンティティによる自己概念化の過程と成果がキャリア形成にどのように寄与するかを四つのケース研究により行っています。スーパーのキャリア発達理論に基づいて、キャリアステージと発達課題モデルの成長期・探索期・確立期・維持期・衰退期に研究参加者の物語(ナラティブ)を著すために本人/関係者と面接/アセスメントを行ない、アセスメントとして心理テストMMPI、主題統覚検査(TAT)等を実施しています。

研究参加者

 年齢・人種・性別・文化的背景を一定にするため、中学三年生の白人男子から、職業発達課題/愛着スタイルに関して四つのタイプでそれぞれ二人選び、提示は各タイプ一人に絞っています。

  【職業発達課題/愛着スタイル】 

  1. ロバート(第三章)  【成熟している態度と能力/安定ー自律型】
  2. ウィリアムス(第四章)   【非現実的な期待を抱き/不安ーアンビバレント型】
  3. ポール(第五章)   【優柔不断/拒絶ー回避型】
  4. フレッド(第六章)   【無関心/恐怖ー無秩序型】

データ収集期間

Life Stage
成長段階(0〜14歳)

中学三年生(十四~十五歳)
 インタビュー:本人(課外活動・学校での経験・家族関係・キャリアプラン)に各一時間、保護者インタビュー
 検査:DAT適性テスト、クーダー職業適性テスト、ネルソン・デ二ィ読解力テスト、オーティス・レノン精神能力テスト、ロッター文章完成テスト、ストロング職業興味検査改訂版、機械理解カテスト、主題統覚検査、仕事価値観テスト

Life Stage
探索段階(15〜24歳)

高校三年(十七~十八歳)
 検査:ロッター文章完成テスト、主題統覚検査、仕事価値観テスト
二十一歳の経過観察
 質問に回答(キャリアに関する)

Life Stage
確立段階(25〜44歳)

ニ五歳
 インタビュー
三五歳
 インタビュー(大規模)
 検査:ロッター文章完成テスト、主題統覚検査、仕事価値観テスト
三八歳
 インタビュー(四時間)
 検査:ミネソタ多面人格目録、ダイナミックパーソナリティ検査

Life Stage
維持段階(45〜65歳)

五四歳
 インタビュー(集中的)
五九歳
 最後の接触

4人のキャリア形成

研究参加者の四人が下記の様な戦略で自己構成とキャリアのコンテンツを形成したとサビカスは解析しました。

(a)社会アクターの自己体系的な愛着スキーマ気質的戦略
(b)動機づけられたエージェントの自己調整的な動機づけスキーマ適応戦略
(c)オーサー(自伝著者)の自己概念的な内省スキーマアイデンティティ戦略

なお、私の担当したポールの冒頭に、

「私が自分自身のために存在するのでなければ、誰が私のために存在するだろうか? 自分のために存在するのでないなら、どんな人間にならなければいけないのだろうか?」この奥深いニつの問いは、ユダヤ教司祭ヒレル (紀元前七十年頃5紀元十年頃)

この章の最後に、その意味が少しわかるようになりました。そして満たされなかった愛のために波乱万丈の人生を送った果てに、ポールが司祭ヒレルの後者の問いに答えられる人生だったことに救われました。

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