『トランジション(転機)』で、ウィリアム・ブリッジズは、人生の避けられない変化、たとえ自ら選んだものであれ、強制されたものであれ、それを乗り越えるためのガイドを提供しています。そこでは、Ending(終焉)、Neutral Zone(移行期)、New Beginning(新しい始まり)という明確な三段階のフレームワークを示しています。そして転機にまつわる人生の変化について振り返り、それらの出来事が自分の人生にどのような影響を与えたかを確認することの重要性を示しています。変化とは、関係の喪失、家庭や私生活の変化、経済的な移行、内面的な変化を含み、これらの出来事の積み重なった影響を振り返り自身を認めることで、新たな始まりへの移行をよりスムーズすると述べています。
転機のフレームワーク

ここで、このNeutral Zoneで立ち止まっているクライエントにどうかかわったらよいか考えてみます。
転機のきっかけを避けた振り返り
『キャリア相談に、昨年両親が立て続けになくなったクライエントが、そろそろ仕事始めないとと思うが、介護でおざなりだった家族との問題もあり「どうしたよいか」と相談に訪れた。担当したキャリアコンサルタントは、少し元気のない様子に気になったので、その辛い出来事は触れないよう、働いていた頃の良かった過去の振り返りをしてもらった。そして今後の就職の方向性を決めようとアセスメントを提案したが、やや抵抗を見せた。』というケースで考えます。

転機のきっかけの振り返り
コンサルタントは、ふとブリッジズの転機のフレームワークを思い出し、今クライエントはご両親を失った喪失感と子としての介護の役割も失い、目的を見失ない、まさに喪失と空虚のNeutralZoneにいることに気づきました。そこで、あえて触れなかった両親の死去の時の大変だった頃を振り返っていただけるようなかかわり行動につとめました。その結果、今までの自分の姿を認められるようになることで心の整理がつき、そろそろ前を向かなければの思いになって頂けました。その上でのあらためて、以前積極的に働けていた時の振り返りのアセスメントを前向きに取り組んで頂けました。

仕事柄、相談者には具体的な就職支援をすることが、所属する組織のミッションであったとしても、目の前のクライエントに合ったかかわりをするには、クライエントの仕事以外の役割も含めたライフロールの視点も必要です。このようにクライエントの観察の感度を上げて、支援に適したキャリア理論をうまく生かす必要性を再認識しました。

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