社会学者のエルダー(Elder)は『大恐慌の子どもたち』の中で、コホート内「一つの対象を一定期間にわたり追跡」とコホート間「同時期の対象間の比較」により、世界恐慌のこどもへの影響を検討しました。その結果、乳幼児に深刻な経済はく奪を経験した子供は、後々まで心身への悪影響が残ったことを示しました。
ところが興味深いところは、児童期の子供には影響がむしろ有利に働いたという点です。当時10-11歳に達していた子供たちは、家庭を助けるために家事や低賃金労働などに従事せざるを得なかったですが、そうした生産的役割を担うこと、すなわち誰かの役に立ち、人から認められる経験をすることが、責任感や自信を高め、成人期に安定した生活を築くことにつながりったそうです。
また人間は大型の哺乳類に多い離巣性(妊娠期間が長く、子が少ない)の特徴を持ちながら、他の哺乳類のように出生後すぐに自立して餌を得ることが出来ない理由として、大脳の肥大化により妊娠期間が短くなり本来胎内で過ごすはずだった一年早く出産する「生理的早産」を迎えているそうです。そのため、生まれたのちに環境の影響を受けて変化する可塑性が高い特徴があるとの述べています。
さらに後年の研究で、乳幼児期に受けた心理的ダメージを引きづった青年のうち、一部はその後の軍隊生活でロールモデルとなる成人男性と出会い、前向きに生きるようになり、家庭や職業上の安定を達成した例が報告されています。
(以上 放送大学教材「発達心理学概論」抜粋)

ゴロワーズがロールモデルとの遅い出会のヒントをもらった気がします。








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