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自己、他者の次は社会(1)

これまで「旅の終わり」で自己理解、「自己から他者へ」で他者の対人認知、ときて最後は現象を含めた社会(自己、他者、現象)の認知に関して学びます。

ニュースで、凶悪な殺人事件を聴くと、私たちは、犯人のなぜそのような行為の及んだのだろうかと、その原因に思いを巡らせます。例え自分には直接関係なくとも、その理由を知りたい、つまり原因を帰属させないと居られない気持ちが湧きます。

ここでは原因帰属を人はどのように行っているか、代表的な理論を学び、またどのように間違った帰属に陥るかに触れたいと思います。今回も放送大学テキスト「社会・集団・家族心理学」を参照しながら、情報を追加しながら進めていと思います。

原因帰属には、大きく分けて合理的な方法と、合理的とは言えない方法の二つに大きく分けられます。初めに合理的な手法として対応推論理論と共変モデルを説明し、加えて原因帰属に伴うエラーとバイアスの話をします。次の投稿で合理的とは言えないが我々が好んで利用する社会的推論と呼ばれるヒューリスティックとの錯誤相関について説明します。

合理的な手法

目次

原因帰属の理論

初めて、原因帰属の理論を提唱したのがフリッツ・ハイダーです。日常生活で人々が行っている原因帰属の法則化(Heider, 1958)を試みました。対人認知において、他者の言動を観察したときに、それがその人の内的な属性によるものと推論する条件を研究し、その後の対応推論理論や共変モデルの登場に繋がりました。

対応推論理論(Correspondent Interfence Theory)

ハイダーの理論考察を受け継ぎ、さらに中核となる概念の「対応」を挙げました。他者の言動を観察したときに、観察者はそこから行為者の意図を推測しようとしますが、行動と行為者の内的属性を結び付ける際に、結びつきの必然性を示すのが「対応」です。

例えば、年寄りの方に席を譲る行為に対して、

「他に誰もいない車内で自らの進んで」の場合、

一見、対応性が高い
行為 =帰属=> 行為者の内的属性(親切な性格)

と見なされますが

ただ、もし

①上の場合でも社会的規範に沿った行為の場合
あるいは
②外的制約:友人に促された外的に強制された行為の場合
③役割期待:教師が生徒の前で行った行為の場合
には、

(特定の個人との間での)対応性が低い、
行為 ≠帰属≠> 行為者の内的属性(親切な性格)

と判断されます。

確かに対応という視点で、性格に帰属すべきかが判断できますが、①の場合は行為者の気持ちの問題なので、他者からの判断は難しいところです。次のモデルではこの判断や帰属の対象を詳しく示します。

共変モデル(Covariation Model)

共変モデル( Kelley, 1967)、対人認知の内的属性の推論に限らない、より一般的な因果推論の法則を説明する理論です。
前提として、

・原因は、それと共変する要因に帰属される(共変原理
・原因要因は、行為の主体(人)、行為の対象(実体)状況(時・様態)の何れかに帰属される
・共変とは「ある現象が起きるときに存在し、起こらないときは存在しない」
・共変に関わる情報として、合意性一貫性弁別性の3次元がある

3次元とは、

  1. 合意性: ある人のある対象に対する反応が他の人々と一致しているか
  2. 一貫性 :ある人のある対象に対する反応はどのような状況でも
  3. 弁別性: ある人のその反応は当該の対象に限って起こるのか

です。

ある例「ジョンはコメディアンを笑う」の結果に対して、人(ジョン)、刺激(コメディアン)、状況(その夜のコメディクラブ)の帰属の可能性と、どの要因かを示します。(Wikipedia参照

ケース1:ジョンだけがコメディアンを笑っている(合意性が低い)場合、彼は他のコメディアンクラブでコメディアンを笑っている(一貫性が高い)、そして他のコメディアンを笑っている(弁別性が低い)場合

ケース2:誰もがコメディアンを笑っている場合(合意性が高い)、ジョンは他のコメディアンクラブでコメディアンを笑っている(一貫性が高い)、他のコメディアンを笑っていない(弁別性が高い)場合

ケース3:誰もがコメディアンを笑っている(合意性が高い)場合、ジョンは他のコメディクラブのコメディアンを笑わず(一貫性が低い)、クラブの他のコメディアンを笑っている(弁別性が低い)場合

各ケース合意性一貫性弁別性帰属要因
ケース1人(ジョン)
ケース2刺激(コメディアン)
ケース3状況(その夜のコメディクラブ)

規範モデルと記述モデル

以上の対応推論理論と共変モデルは必要な情報がそろっていることが前提とされ、あるべき姿の規範モデルと呼ばれています。ただ現実には、情報が十分のそろっていない場合はありのまま記述モデルと呼ばれ、そこでは合理的な推論ができるわけではありません。

さらに、

「人は稠密な因果推論が可能な場合でも、簡便な推論を選択する傾向にある」

それは、様々な情報を詳細に吟味して因果関係を推定するには、多大な労力と時間を必要とするため、有限の情報処理能力しか持たない人間は簡便な推論を選んでしまうようです。

ゴロワーズ

いわゆる認知ケチですね。

そのために起きるエラーやバイアスを次の投稿で紹介します。

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