「底流に流れるもの」では、時代を超えて、様々な理論の底流として流れるような共通の考えを切り出したいと思います。
今日は、先日取り上げたウィリアム・ブリッジズの「トランジション(転機)」の中の一節「「関係の喪失」と言った変化に対して、振り返り自身を認めることで、新たな始まりへの移行をよりスムーズする」に関してです。ブリッジズは、人生の避けられない変化を終焉/移行期/新しい始まりという明確な三段階のフレームワークで示し、それを乗り越えるためのヒントとして述べています。
『終わりをしっかり受け止める』
つまり『終わりをしっかり受け止める』ことの重要性を説いています。この考えは。実は共通する概念が時代を超えて存在することに気づきました。
- フロイトの「喪の作業」(Mourning Work)
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人間が喪失した対象から離れていくためにとる心理的過程を表したものです。愛着や依存の対象を失うことを対象喪失といい、それによって生じる心的過程を喪(悲哀)といいます。フロイトは、喪の作業を経ることによって失った対象から離脱し、新しい対象を求めることが可能になるとしました。(サイエンス.COMより)
- ジョン・ボウルビィの「喪の作業」の心理的過程
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「喪の作業」の心理的過程とは、愛着や依存の対象を失うことを意味する「対象喪失」によって生じる深い悲しみ等の心理的過程のことです。
第1段階:麻痺・無感覚の段階(激しくショックを受けている)
第2段階:否認・抗議の段階(対象喪失を認めず、失った対象がいるように振る舞う)
第3段階:絶望・失意の段階(激しい失意、抑うつの体験)
第4段階:離脱・再建の段階(喪失を受け止め、立ち直る努力をはじめる) - キューブラー・ロスの「死の受容過程」
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キューブラー・ロスは、患者が死に直面した際に経験する心理的な段階を5つに分類しています。
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第1段階:否認(患者は死を受け入れられず、否定的な感情を抱く段階です。)
第2段階:怒り(死に対する強い怒りや不満が表れることがあります。)
第3段階:取引(延命を求める行動が見られることがあります。)
第4段階:抑うつ(深い悲しみや無力感が強くなる段階です。)
第5段階:受容(死を受け入れ、穏やかな気持ちで終末を迎える段階です。) - エリクソンのライフサイクル論の「老年期の発達課題」
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エリクソンは発達段階説の老年期において、喪失体験が重なると、悲しみや後悔が先に立ち、自分の人生が無意味なものに感じられたり、不安や絶望感を感じたりすることがあると述べてます。しかし、 最終的に 「よく生きた」とこれまでの人生を振り返り、総体として、肯定的に自分の人生を受け入れることができたとき、統合が達成され、知恵(Wisdom)が獲得されると述べました。
このように、何かが終わるとき・失なわれたときに、それまでの出来事に蓋することなくしっかり振り返り、受け止めることで、次の新たな展開あるいは今この時を穏やかに迎えられると言う考えは、各理論に共通する所があると感じました。カウンセラーは、場合によると一人で振り返れない辛い思い出も、一緒に風景を見るようにクライエントに寄り添うことが大事なんですね。









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