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足場で良いみたい(再掲)

 以前、”Career Construction Counseling Manual”を読んだときに出てきたワードの “scaffolding” 「足場」をめぐる学びを再掲して取り上げたいと思います。この本の中に6か所も出てきて、特にキャリア構築インタビューの核心部でも、

クライエントのマイクロナラティブを包括的なプロットにアレンジするため、カウンセラーはCCIの質問のプロットに深く埋め込まれたパターン認識のスキーマを用います。その足場となる質問は、クライエントのマイクロナラティブをマクロナラティブに繋がるよう順番に並べます。その物語構成のための5つの質問は、自分自身、その自分を演じるためのステージ、次の場面への脚本、それをどう始めるかの助言、そしてこの転機に対する基本的な視点について尋ねるものです。

 輪読会の中で、最初の段落でscaffoldingの訳は建築現場の足場みたいで違うのでは?のお声もあり、各段落で担当者が「足掛かり」「きっかけ」「骨組み」「土台となる」など苦労してました。思えば一つの英単語を複数の日本語の語彙でなんとか表現する良いワークになりました。

そして最後の段落の担当の まるさんが Chat-GPTを活用して「スキャフォールディング(scaffolding)は、教育や心理学の分野で使われる用語で、学習者が新しい知識やスキルを習得する際に、サポートを提供するプロセスを指します。」と紹介してくれました。

足場というと建築現場の表現のように思えましたが、教育分野では足場かけ(Scaffolding:スキャフォールディング)という用語が良く使われ、学習・問題解決を促すために、大人・教師などが、このことばを使って、子ども・学習者をサポートすることを指すようです。

 ところで、この「足場かけ」を「発達心理学概論(’17 放送大学テキスト)」を読みなおしたら、ロシアのヴィゴスキー(Vygotsky, 1896-1934)の「発達の最近接領域」の説明で、「足場かけ」「足場外し」といったワードが出てきました。

 少しわき道にそれますが、ヴィゴスキーさんについて少し、

 彼はその当時流行ったピアジェの生物学的観点に立脚した発生認識論に基づいた視点に対して、社会文化的・歴史文脈の重要性を強調した方です。平たく言うと「発達や学習は他者との活計なしには成立し得ない」と主張した人だそうです。

有名な話に、1930年代に子供の「ひとりごと」をめぐる論争があります。

幼児が集団の中で誰かに伝える出なく言葉を発するのをピアジェは子供の未熟さの現れと見ました。一方ヴィゴツキー外言」から「内言」に移行する過渡期の現象と反論しました。つまり幼児は人に伝える「外言」にたいして、自分の行動を計画したり、考えたりする道具として言語として「内言」を使い始め、先ず思考をひとりごととして音声で表現し、やがて内面化する過程なのだと考えたのでした。

この考えに最後はピアジェも同意したそうです。

 ここで話を戻すと、ヴィゴスキーはこどもの知的水準の発達に関して「発達の最近接領域(zone of proximal development)」と言う考えを提唱しました。
 こどもには、自分で問題解決できる領域「現在の発達水準」と大人のサポートや仲間との協同があれば出来る潜在的な「明日の発達水準」があり、この二つの水準の開きを「発達の最近接領域」と呼びました。
 教育は現在の発達水準明日の発達水準へと引き上げたり、新たな明日の発達水準を広げるものでなければならないと主張しました。

そして、その後の教育心理学の中で、

この「明日の発達水準」への働きかけを「足場かけ」(Wood他, 1976)と呼び、こどもが独力で出来るようになったときは「足場外し」と呼ぶ

という意図的な教育の流れが作られそうです。

教育理論や社会文化理論に基づいた研究や教材では「足場」の表現はふつうに使われる表現のようです。回り巡って、一見直訳みたいですが、教育理論の世界を知ると、そのまま「足場となる質問」でも良かったと思うようになりました。

ゴロワーズ

何故か私はこどもの自転車の補助輪を思い出しました。

CCIの5つの質問は、クライエントのライフポートレート(キャリアテーマを含む)を伺い知るための、我々カウンセラーの「補助輪」いや「足場」と言えるかもしれません。

ゴロワーズ

我々に「補助輪無し」「足場外し」の日が来るのでしょうか?まだ遠い気がします。しばらくはCCIの5つの質問を味わい活用したいと思います。

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